平成30年度施政方針

更新日:2022年03月11日

平成30年度施政方針

 平成30年3月5日に開会された平成30年第1回(3月)町議会定例会の冒頭において、平成30年度の町政運営に対する町長の基本的な考え方である施政方針を表明しました。

施政方針全文

 本日は、平成30年第1回宇治田原町議会定例会を招集させていただきましたところ、議員各位におかれましては公私とも大変お忙しい中ご参集を賜りまして、ここに開会できますことを心から厚く御礼申し上げます。

 開会にあたりまして、平成30年度において宇治田原町政の推進に臨みます所信の一端を述べさせていただき、議員各位、並びに住民の皆さま方のご理解とご協力を賜りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 私は、平成25年2月に宇治田原町長に就任させていただき、さらに昨年には多くの住民の皆さまからのご支援によりまして再びご信託を賜りました結果、町長として通算5年にわたり町政を担わせていただいてまいりました。

 今日まで大過なく町政を進めてまいることができましたのも、議員各位をはじめ、住民の皆さま方から賜りました温かいご理解とご協力、そして町職員の努力の積み重ねと、深く感謝申し上げる次第であります。

 この間、私は「未来に希望と責任」を持てる、住民も行政も心を一つに「好きやねん うじたわら」と言っていただけるまちづくりを、“絆”で創りあげていくことが最重要であると一貫して申し上げてまいりました。

 この信念は今後も不変であり、引き続き、京都府政との協調を深める中、この宇治田原町のさらなる発展と1万住民の皆さまの幸せのため、粉骨砕身努めてまいる決意を新たにしておりますので、皆さま方の一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げる次第でございます。

 ここで、平成30年度の町政運営にあたって、昨年に二期目のご信託をいただくにあたり住民の皆さまにお約束させていただいた「最重要三本柱」への思いを、最初に申し述べさせていただきます。

 「みちづくり」、すなわち都市計画道路宇治田原山手線の整備。そして「拠点づくり」として役場新庁舎の建設事業。さらには「未来づくり」として人口減少対策と移住・定住対策の推進。

 平成30年度予算案におけるこれら「三本柱」に関連する施策については、後ほど「第5次まちづくり総合計画」に掲げる「まちづくりの目標」に沿って申し上げますが、「三本柱」の取り組みをさらに加速化させ、そして30年先、50年先に本町に住んでいただく方の“未来”に向けた施策を軌道に乗せる。これが二期目2年目の私に課せられた、達成すべき大きな一里塚であると認識しているところであります。

 これまで常々申し上げておりますとおり、これら三本の柱はそれぞれの取り組みが連関することにより、足し算ではなく掛け算の相乗効果を発揮することが肝要でありますことから、どの取り組みも欠けることなく一体的に進めてまいる決意を、この場で皆さまにお伝えさせていただきます。

 次に、平成30年度予算全体に対する考え方ですが、現在国政においては第196回通常国会が開会されており、安倍内閣が掲げる「働き方改革」「人づくり革命」「生産性革命」といった経済政策をはじめとする予算や政策の審議が継続されていることから、まずはその動向を注視し本町への影響を検証いたしますとともに、国及び府における広域的施策への連携・対応をしっかりと図ってまいります。

 日本経済は28年ぶりとなる8四半期連続のプラス成長となり、物価もマイナス圏を脱するなどデフレ脱却に向けた回復の兆しを見せつつあると言われていますが、一方で我々地方の立場にあってはいまだその途上に感じられるところであります。

 本町の財政状況につきましても、歳入における町税や地方交付税等の一般財源の大幅な増加を見込むことが困難な中、引き続き経常経費や社会保障費の増加が見込まれますとともに、今後の大型建設事業の実施により中長期的にはさらに厳しい状況へ向かう見通しとなっています。

 一方で、地域の創生、そして自治体間競争の流れにあって、本町が「第5次まちづくり総合計画」に掲げる持続可能なまちづくりを進めるためには、後ほど具体的に申し述べます就業や町内企業への支援等による将来的な税収と財源の確保のほか、自ら行財政改革に取り組むことで、住民の皆さまにとっての重要度を見定めた施策展開を図っていかなければなりません。

 こうした中、平成30年度については先に述べました「三本柱」に位置づける大型の整備事業がいよいよ目に見えて動き出すことを踏まえ、また「三本柱」のみならず、本町の将来を定めるための長期的な指針「第5次まちづくり総合計画」及び、人口減少の克服と地域創生のための「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げるさまざまな施策をさらに加速化させるため、国政・府政、そして社会経済情勢の動きにも機敏に対応する過去最大規模の当初予算案を編成したところでございます。

 それでは、平成30年度の主要な施策について、「第5次まちづくり総合計画」に掲げる四つの「まちづくりの目標」及び二つの「行政の基本姿勢」に沿って申し上げます。

 まず、住民の健康を守るため、保健・医療体制の充実を図るとともに、暮らしの不安要因を減らし、安心して暮らせるまちづくりを推進する「健やかに安心して暮らせるまち」であります。

 いくつになっても健康で長生きできる、いわゆる健康寿命を延伸することは本町においても喫緊の課題であります。

 健康づくりは住民の皆さま一人ひとりがそのライフステージに応じ、各自の健康意識に基づいて取り組むべき課題ではありますが、一方で、社会全体で健康づくりを積極的に支援する環境づくりが重要です。このため、引き続き町が行う各種健康事業や健康診査への参加を促すための応援ポイントキャンペーンを実施する中で、運動と食事の重要性を再認識し、ウォーキングの習慣化を促すための啓発イベントの開催や、これまでに町が作成した地産地消の健康食の普及啓発等による食育の推進に努め、「自らの健康は自らの手で」という意識の高揚と健康増進を図ってまいります。

 一方で高齢化の進展に伴い、介護予防や生活支援のニーズが一層高まるとともに、認知症対策の取り組みが求められています。

 一人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯、認知症高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、引き続き地域全体で高齢者を支える介護予防事業等に取り組みますとともに、認知症対策として、専門的な知識・技能を有する医師等による認知症初期集中支援チームを立ち上げ、対象となる高齢者やその家族に対する包括的な支援を開始してまいります。

 また、障がい者が住み慣れた地域社会で自立した生活と自己実現を図ることは大きな願いであります。このため、居宅介護や通所などの障がい福祉サービスのほか、コミュニケーション支援や移動支援などの実施により障がい者の自立と地域生活を支援していきますとともに、障がい者が必要な情報を手に入れ、また相談ができるよう、町による相談体制に加え、町内の社会福祉法人が専門的・広域的なサービス調整と相談支援事業における基幹的な役割を果たすための支援を行い、障がい者の地域での安心と生活の向上を推進してまいります。

 地域福祉においては、引き続き社会福祉協議会や民生児童委員協議会の活動への支援により、地域ぐるみでの支えあいを進めてまいります。また、国において自殺対策における地方公共団体の責務を定めた自殺対策基本法に基づき、本町の実情に応じた「自殺対策計画」を新たに策定してまいります。

 暮らしの安心と安全は、私が常々申し上げております「好きやねん うじたわら」と皆さまに言っていただくための大きな前提であり、私のまちづくりにおける信念の一つであります。

 まず、生活の安心のために何よりも重要になるものは「情報」でありますことから、防災マップの改定と住民の皆さまへの周知に努めますとともに、平成27年度に策定した情報伝達システムの整備に係る基本構想に基づき、新たな情報伝達システムの整備を進めてまいります。

 また、町だけでなく住民自ら、そして住民同士による取り組みである「自助・共助・公助」、さらにはご近所同士の助け合いである「近助」。災害時のみならず平時においても、これらを組み合わせた安全対策が重要となりますが、その礎となるのが地域の防災力の強化であることは申すまでもございません。

 本町では地域の安心・安全の担い手であります消防団のほか、町内の全ての区・自治会で「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚と連帯感を実践する自主防災組織を組織いただいているところでございますが、引き続きその活動や資材に関する支援を行ってまいります。

 また、関係機関が連携・協力することで地域住民の防災意識の高揚を図り、災害に強いまちづくりをめざすため、引き続き土砂災害、豪雨、地震に対応する総合的な訓練を実施いたします。

 さらに、防犯面での安全性を高めるため引き続き地域での自主防犯活動への支援を行いますとともに、計画的な町公用車へのドライブレコーダーの搭載等と合わせて交通安全対策はもとより、総合的な犯罪の抑止と未然防止に寄与してまいります。

 次に、きれいな水や豊かな緑に恵まれた自然環境を守り育てるとともに、広域交通と連携のとれた町内交通の利便性の向上や、道路、生活環境などの基盤が整備された便利で快適なまちづくりを推進する、「便利で快適に過ごせるまち」であります。

 冒頭にその強い思いを申し上げましたとおり、便利で快適なまちの基本となる“みちづくり”と“拠点づくり”は「最重要三本柱」に位置づける、本町の重要な課題であります。

 かねてより申し上げておりますとおり、平成35年度に予定される新名神高速道路の開通は、本町の将来とまちの構造に劇的な変化と飛躍をもたらす可能性を秘めており、このインパクトを最大限に活用するための都市基盤整備を積極的に進めていくことが、何よりも重要であります。

 私がまちづくりの一丁目一番地と位置づける都市計画道路宇治田原山手線の整備につきましては、昨年に京都府において贄田及び立川地区にまたがる「新市街地」までを当面の第1期整備区間として予算化を図っていただき、また国道307号以北についても、西日本高速道路株式会社への工事委託のもと、整備を進めているところであります。

 引き続き京都府をはじめとする関係機関と協議を重ね、また協調を強めながら、住民の安心・安全のため必要不可欠な道路として悲願であります早期の全線開通に向け、「都市計画道路宇治田原山手線の早期完成を求める住民会議」の皆さまとともに、官民一体となった「オールうじたわら」での取り組みを強力に進めてまいります。

 次に役場新庁舎の建設事業につきましては、一本目の柱に掲げる都市計画道路宇治田原山手線の整備と合わせ、本町の土地利用構想とまちづくりの根幹をなす事業であり、ここで改めてその推進にかける思いを申し述べさせていただきます。

 これまで、さまざまな観点からその建設位置や土地利用計画、施設配置計画、事業手法等を検討し、「新庁舎建設基本構想」並びに「同基本計画」を策定し、事業を進めてきているところです。これら構想等に掲げておりますとおり、新庁舎は災害対策活動の拠点や住民サービスの向上のため、必要不可欠なものであります。

 また、建設地については「第5次まちづくり総合計画」の土地利用構想で定めた「新都市創造ゾーン」中において、公共・公益施設等の住民サービス機能と産業・工業機能の集積を図る「シビック交流拠点」の、町道南北線の延伸部と都市計画道路宇治田原山手線の交差点に面する場所とすることにより、山手線の整備とそれによる都市機能を牽引する極めて重要な旗印ともなり得ることから、事業を速やかに、かつ強力に推進することが必要と考えております。

 こうしたことから、平成32年度の供用開始をめざし、平成30年度は実施設計や用地造成等の建設事業を本格化いたしますとともに、並行して隣接地には住民の皆さまの日常的ないこいの場として、そして災害時の緊急避難場所としての機能を併せ持つ都市公園の整備を推進してまいります。

 一方、道路施設等についてでありますが、住民生活の利便性・快適性の確保と、安全で災害に強い道路整備を計画的に進める観点から、引き続き町道の整備改良と橋梁等の長寿命化修繕に取り組みますとともに、新都市創造ゾーンと既存集落とを結ぶ連絡道路の整備も推進してまいります。

 また鉄軌道のない本町においては、住民の生活の足となる公共交通の充実が大変重要です。有識者や住民代表による「地域公共交通会議」にて交通体系の対策・検討を進めた結果、昨年8月にはこれまで高齢者等を対象としていた福祉バスについて、誰でも無料で利用可能な「町営バス」として運行を開始したところですが、平成30年度も町営バスのさらなるルート拡充のほか、地域住民により運行するコミュニティバスやバス事業者による路線バスと合わせた利用推進を図りますとともに、今後も関係者を交えた場で公共交通体系の対策について協議を進め、本町の地域事情に応じた、より便利で使いやすい生活交通ネットワークの構築を進めてまいります。

 本町の美しい緑に囲まれた豊かな自然環境は他市町村にはない貴重な資源であり、みんなで守り次代に引き継いでいかなければなりません。

 このため、環境保全に取り組む上での共通の環境像や理念を示す「環境保全計画」のもと、その推進主体である「エコパートナーシップうじたわら」の活動を支援し、持続可能な社会づくりを進めていきます。

 住民の皆さまの日々の生活を支えるライフラインについては、将来にわたる安心・安全な飲料水の確保のため、引き続き第5次まちづくり総合計画における土地利用の形成方針等に基づく給水区域の拡大を含めた経営戦略を定め、適切な送配水管等の整備に取り組みますとともに、水環境の保全と快適な生活環境の創出のため、計画的に下水道整備を進めてまいります。

 次に、人口流出に歯止めをかけるため、地域の歴史・文化、茶を核とした地域資源を活用しながら、産業振興や観光交流、雇用の場の創出につなげ、多様な世代で賑わうまちづくりを推進する、「活気にあふれる交流のまち」であります。

 「最重要三本柱」にも位置づける人口減少対策は、本町の重要な課題であります。本町のことを知っていただき、住んでいただく。移住対策はもちろんのこと、今現在この町に住んでいただいている方を含めた定住対策を総合的に展開してまいります。

 第5次まちづくり総合計画の将来像には、「やすらぎ・ぬくもり・ハートのまち」を掲げております。都会に意外と近く、町内もコンパクトな近さがあり、そして何よりも住民同士が、人と人とが近いハートフルなまちであること。これまでもこうした本町の「いいところ」を内外に発信するパンフレットを作成し発信を行っているところでありますが、平成30年度は他市町村にない強みと“ハートのまち”のブランド化を図り、さらなるプロモーションを加速化させます。

 まず、町内におきましては、民間の“ハートのまち”PRによるシティプロモーションの好循環の流れを加速化するため、関連商品等への支援制度を創設いたしますとともに、これまで本町へのふるさと納税における御礼特産品「お返しギフト」に協力いただいた町内店舗等との連携のもと、来訪者によるツイッター、インスタグラム等のSNS発信を促進するためのしかけづくりを行います。

 また、本町への移住を希望する方には、まず本町での暮らしや地域性を実際に体験いただくことが、その後の定住においても非常に重要となりますことから、地域とも協力・連携する中で、空家を活用した移住希望者向けの「お試し住宅」の整備としくみづくりを進めます。

 なお、空家等に関する施策につきましては、このお試し住宅のほか、平成29年度に策定の「空家等対策計画」に基づき、空家を活用する移住者・事業者等への支援制度をさらに充実いたしますとともに、そのまま放置すれば倒壊等の著しく保安上危険となる恐れのある「特定空家等」の未然防止や対応を含めた、空家に関する総合的な対策を進めてまいります。

 本町の強みのプロモーションは、そのターゲットを明確にして発信しなければなりません。このためこれまで進めてきた、そしてこれから進める本町の移住定住施策に関する情報発信とブランディング強化を図ることで、一体的な都市圏等へのプロモーションを進め、知名度の向上、そして移住定住を強力に推進してまいりたいと考えております。

 また、活気にあふれる交流のまちの実現には、観光振興計画に基づく「住んでよし、訪れてよし」のまちづくりを進めることが不可欠であります。平成29年度には、京都府において宇治茶をテーマに景観維持や産業振興、文化の発信などを進める「お茶の京都」事業のターゲットイヤーとして、本町のみならず京都府南部地域で様々なエリアイベントが行われたところですが、こうした交流への気運を一過性のものとしないため、本町において観光交流に携わる方々に参画いただく「観光まちづくり会議」を中心として、本町の地域性に合わせた観光魅力の創出、情報発信を進めてまいります。

 一方、日本遺産に登録され、また「お茶の京都」における重点的交流拠点に位置づけられた湯屋谷地域、そして本町の西側の玄関口の西ノ山集団茶園。本町ではこれら2か所をお茶の京都交流拠点として整備を進めてまいりました。平成30年度は交流拠点を活用した観光まちづくりを加速化させるため、西ノ山集団茶園の茶畑展望施設の整備をさらに進めますとともに、湯屋谷地域の茶工場リノベーション施設においては地域の賑わいの創出にも資するよう、地域住民による主体的な管理運営を支援してまいります。

 また、湯屋谷地域のお茶の京都交流拠点への路線バスの延伸や町内観光資源への観光周遊バスの運行等と合わせ、町内の観光周遊性を高めることを狙いに、本町の歴史の道の一つである「家康伊賀越えの道」における散策コースを整備いたします。

 なお、「日本緑茶発祥の地」をはじめとする本町の地域ブランドのさらなる発信と交流につなげるため、これまでよりかかわりのある中国雲南省と「お茶」をテーマとした交流を継続いたしますとともに、新たに「(仮称)国際交流推進会議」を設置し、英語圏をはじめとする多様な国際交流事業につなげてまいりたいと考えております。

 また、移住定住のためには、居住地の近くに働く場があること、そして町内企業への就業の促進が必要です。まず入り口として京都ジョブパーク、ハローワーク等の専門機関と連携しながら町内企業と求職者の接点を増やすための取り組みを進めますとともに、引き続き町内事業者に対して町内在住者を正規雇用した場合や町外からの移住に係る経費等への支援を行うことで、総合的な町内雇用の促進を図ります。

 また、中小・小規模企業者への生産拡大等への支援を継続するほか、新たに町内において新規創業する個人・法人への創業経費に対する町独自の支援や、京都府制度のもと空家等を活用した起業への支援を開始することで、町内における企業の成長と新たな事業の創出につなげてまいります。

 一方、本町の主産業である農業、そして林業の振興は重要な課題でありますことから、優良な農地の確保・保全に向け農業振興地域整備計画の改定に着手いたしますとともに、農林業の生産性の向上及び近代化の促進、農林業者の経営改善及び共同化等を推進してまいります。

 また、日本緑茶発祥の地としての歴史や、宇治茶ブランドを支える一大産地としての宇治田原町を町内外に広く発信していくため、高級茶の生産には欠かせない茶園被覆棚に対する支援や既存集団茶園の再造成など、地場産業のさらなる振興を図ってまいります。

 有害鳥獣対策については、引き続き狩猟免許取得等への支援や被害防止・駆除事業を行いますとともに、野猿による被害に対しては追い払い等のほか、モンキードッグの先進実施地への視察研修を新たに行うなど、総合的かつ効果的な取り組みを進めてまいります。

 また、森林整備事業の推進のため、新たに森林所有者等が行う森林境界の明確化に対する支援を行うほか、町内森林資源の有効活用と地域活性化のため、林業関係者や団体とともに、「木の駅プロジェクト」の実現に向けた調査研究にも取り組んでまいります。

 次に、子どもを生み育てる環境と教育環境の充実をはじめ、人間性豊かな成長や暮らしの充実を図るとともに、共生の心を育むまちづくりを推進する、「子育てと学びを応援するまち」であります。

 本町における地域の創生と人口減少対策のため、総合計画・総合戦略それぞれに共通する「まちづくり戦略」において、出生率を向上するための施策展開を掲げております。引き続きこれら戦略に基づき、出産や子育てに関する不安を解消するための切れ目のない支援や負担軽減への取り組みと、特徴のある教育プログラムの実施により子どもの可能性を伸ばす環境づくりを進めてまいります。

 本町では、子どもはまちの未来であるという「子ども・子育て支援事業計画」の基本理念に基づき、様々な子育て支援、少子化対策事業を進めているところです。

 本町における子育て支援の核となる地域子育て支援センターにおいては、引き続き母子保健と連携した妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない包括的な支援を進めますとともに、子育て家庭の個別ニーズに応じた情報提供や相談のほか、「あそびの広場」「おでかけ広場」などの身近な場での参加型事業を行ってまいります。また、子育て中の保護者が学ぶための講座などを充実することにより、地域での全員参加による子育ての輪を拡大してまいります。

 一方、国において「働き方改革」が強く打ち出されている今、本町だからこそできるきめ細やかで手厚い保育を進める必要があります。町立保育所「あゆみの園」においては、昨年には敷地内に一時保育室等のスペースを確保する園舎を増築したところですが、安全な保育の実施と子どもたちの健全な成長のため、園庭等の必要な整備を進めるなど、引き続き保育のさらなる充実を図ってまいります。

 小学校就学後の児童を対象とする学童保育につきましては、これまでに整備を進めてきた育成施設において、子どもたちが心身健やかに育成されるよう運営体制の充実に取り組んでまいります。

 また、子育ての負担軽減のため、引き続き本町独自におむつ等の育児用品の購入費用への支援や保育料の軽減を行うほか、中学校修了までの児童・生徒を対象とする子育て支援医療費について、府制度を上回る自己負担額への支援を行います。

 少子化対策事業の企画立案と実践に向けては、引き続き庁内若手職員によるプロジェクトチームと関係機関・団体とが連携した取り組みを進めてまいります。

 なお、「子ども・子育て支援事業計画」については、平成31年度においてこれまでの取り組みを踏まえた新たな計画を策定するため、先行し子育て世帯への意識調査等を実施いたします。

 特徴のある教育プログラムの推進と、「誇りを持ってふるさとを語れる子」を育成することは、移住定住にもつながる非常に重要な視点でありますことから、学校教育と社会教育を通じ、この町で生まれ育つ子どもたちへ、そしてあらゆる世代の住民の方々に、ふるさとへの愛着と誇りを醸成してまいりたいと考えております。

 引き続き本町ならではの特色のある教育として寺子屋「うじたわら学び塾」を開設し、町内の大学生・高校生をはじめとする地域ぐるみでの学びを推進してまいります。学校教育においては、地域学習をはじめとして小学校から中学校までの義務教育9年間での連続性のある教育により、児童生徒の学力の充実を図ってまいります。

 また、小中学校における教育環境の改善と安全性の確保に取り組むほか、両小学校において平成29年度に引き続き、国からのモデル受託事業としてカリキュラム・マネジメントの研究・実践を進めます。

 子どもの通学手段の確保と町独自の支援、経済的な支援が必要な家庭への支援制度を適切に実施するほか、全国に誇れる本町の安心・安全な給食の提供と食育の推進のため、学校給食共同調理場の着実な運営に取り組んでまいります。

 生涯学習については、住民一人ひとりが生涯の各時期に応じた内容を自ら選択し学習できるよう多様な情報提供に努めますとともに、関係機関、人材の連携・ネットワークを強化し、生涯学習講座グリーンライフカレッジをはじめとする学習機会の提供を進めます。

 また、地域資源を活用した社会教育の場として、奥山田ふれあい交流館の敷地において、奥山田地内から採掘された化石をテーマとした体験学習スペースに加え、多世代の住民や来訪者のいこいの場となる公園を一体的に整備いたします。なお、これら施設の運営にあたっては地域の活性化にも資することを狙いに、地域住民のほか大学生等との連携を進めてまいります。

 以上、第5次まちづくり総合計画に掲げるこれら四つの「まちづくりの目標」に加えまして、まちづくりの目標を推進するにあたって共通する二つの「行政の基本姿勢」に基づき、庁内の関係各課が密接な連携を図りつつ、様々な施策を積極的に実施してまいりたいと考えております。

 各施策の推進にあたっては、今年度、外部有識者等のご意見を踏まえ策定を進めてまいりました第6次行政改革大綱及び同実施計画に基づき、その改革に向けた3つの柱である「健全な財政運営」「行政課題に応じた組織の構築と人材の育成」「住民満足度の向上につながる行政サービスの提供」、これらの取り組みを着実に進めることが必要と捉えております。

 このため、同大綱に掲げる行政改革の考え方“チャレンジ精神と努力を積み上げ 明日の宇治田原を拓く”というキャッチフレーズのもと、職員の主体性やチャレンジ精神を高め、一人ひとりの能力・意欲・発想を活かし、効率的かつ効果的な行財政運営を加速させたいと考えております。

 なお、「第5次まちづくり総合計画」及び「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に共通する、平成31年度までの具体的な施策群を位置づけた「まちづくり戦略」については、引き続き外部有識者や地域住民による計画の評価・点検を行う体制を整え、施策の着実な実施と中間年までの取り組み状況を踏まえたブラッシュアップに努めてまいります。

 また、各計画に位置づける施策の進捗状況や成果を明らかにする的確な評価と、予算との有機的な関連のあり方についても検討を進めてまいります。

 なお、この「まちづくり戦略」をはじめとする総合計画・総合戦略の策定とその推進を位置づけておりますのが、一昨年に町議会のご可決をいただき制定いたしました「町まちづくり総合計画推進条例」であります。本条例では「住民と町が協力しながら、ともに歩んでいく」、また「町が地域課題に対して責任を持ち主体的に公的な活動を行うことを前提としつつ、地域での自主的なつながりと活動を尊重し、また協力して対応していくパートナーシップの構築」という考え方を謳っております。

 これは、私が常々申し上げております「百万一心」という言葉とその信念を同じくするものと考えております。「百万一心」は、「みんなが力を合わせれば何事も成し得る」という意味であります。まちづくりのあらゆる取り組みにおいて、地域の人たち同士の絆、それを支える役場職員間の絆、そして、地域の人たちと役場職員との絆、この3つの絆をしっかり結び合い、その推進に努める。そして、「絆で輝く未来を創る 交流のまち」を、住民の皆さまと創りあげてまいります。

 以上、これまで申し述べました諸施策・諸事業を推進するためには、行政だけの力で完遂することはできず、議員各位をはじめ、住民の皆さま方、本町に関わるすべての方々のご協力が不可欠であります。私はその先頭に立って誠心誠意努力してまいることをこの場でお約束させていただきたく存じます。

 どうか今後の本町のまちづくりの推進になお一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。

 平成30年3月5日

宇治田原町長 西谷信夫

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