平成29年度施政方針

更新日:2022年03月10日

 平成29年3月3日に開会された平成29年第1回(3月)町議会定例会の冒頭において、平成29年度の町政運営に対する町長の基本的な考え方である施政方針を表明しました。

施政方針全文

 本日は、平成29年第1回宇治田原町議会定例会を招集させていただきましたところ、議員各位におかれましては公私とも大変お忙しい中、ご参集を賜りまして、ここに開会できますことを心から厚く御礼申し上げます。

 私は、先の町長選挙におきまして、多くの住民の皆様からのご支援によりまして2期目当選の栄に浴し、歴史と伝統に培われた宇治田原町の第17代町長として引き続き町政を担わせていただくことになりました。

 この間、多くの住民の皆様から、また多数の議員の皆様からの心温まるご支援とご厚情に心から感謝申し上げますとともに、改めてその責任の重大さを痛感し、身の引き締まる思いでございます。

 また、平素は町政発展のためにご尽力いただいております町議会議員の皆様に対しまして心から敬意を表しますとともに、重ねて厚くお礼を申し上げます。

 1期4年間、一日一日を精一杯職務に励み、住民の皆様の目線で、また対話を基本として、住民の皆様とともに町政に取り組んでまいりました。そしてその経験を糧に、議員の皆様をはじめ先人たちが築き上げてこられましたこの宇治田原町のさらなる発展と1万住民の皆様の幸せのため、新たな任期において粉骨砕身努めてまいる決意でありますので、皆様方の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。

 それでは、開会にあたり諸議案をご提案申し上げます前に、私の2期目任期の始まりとなります平成29年度において、宇治田原町政の推進に臨みます所信の一端を述べさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 私の1期目任期の最終年である昨年3月に、持続可能なまちづくりを進めるための長期的な指針である「第5次まちづくり総合計画」、そして人口減少の克服と地域創生のための「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を、町議会のご可決をいただき一体的に策定いたしました。

 そして、私は先の町長選挙におきまして住民の皆様からご信託を受けるに当たり、町政における最重要の三本柱として「都市計画道路宇治田原山手線の整備」「新庁舎建設事業」「人口減少対策、移住・定住対策」の推進、また「第55次まちづくり総合計画」に掲げる四つの「まちづくりの目標」及び二つの「行政の基本姿勢」に沿った54項目の具体的な施策と取組について、住民の皆様にお約束をさせていただきました。

 この公約では「絆で輝く 未来を創る 交流のまち」をテーマといたしており、人と人とのつながり、心と心のつながりに重きを置き、絆で輝く、人・モノ・文化がつながる交流のまちづくりに今後も取り組む姿勢を示しております。

 そして少子高齢化と人口減少が進む中にあって、人と人とが絆で結ばれ、30年、50年先に本町に住んでいただく方の未来に「希望」と「責任」を持つこと、また住んでいる人も住んでいない人にも「好きやねん うじたわら」と言っていただける、明るく未来ある宇治田原町を創りあげるため、引き続き山田京都府政との協調を深める中、公約実現に向け、取り組んでまいる所存であります。

 ここでまず、総合計画等で明らかにしております本町の主要課題も踏まえまして、私の公約における「最重要三本柱」に掲げる事業につきまして、最初に申し述べさせていただきます。

 まず一本目の柱は、私が本町のまちづくりの1丁目1番地の施策として位置づける都市計画道路宇治田原山手線の整備、すなわち“みちづくり”であります。

 平成35年度に予定される新名神高速道路の開通は、本町の将来とまちの構造に劇的な変化と飛躍をもたらす可能性を秘めており、そのインパクトを活かした都市整備を進めることが何よりも重要です。

 都市計画道路宇治田原山手線は、新名神高速道路の仮称「宇治田原インターチェンジ」へのアクセス道路となり、国道307号の交通分散を担う域内交流・流通の機能と災害時における地域内外の連携強化の機能を併せ持つ、本町のまちづくりの根幹をなすものであります。

 これまで「都市計画道路宇治田原山手線の早期完成を求める住民会議」の皆様によります積極的な活動をはじめ、官民一体となった取組を強力に進めてまいりました結果、京都府において去る2月3日に開催された「公共事業評価に係る第三者委員会」において、町道南北線の交差部分までの1.1キロメートルを当面の第1期整備区間として、新規着手の必要性が承認されました。そして同月8日に発表された京都府の新年度当初予算案において「国道307号バイパス都市計画道路宇治田原山手線」を新規事業として計上していただくという、本町にとって非常に大きな進捗の局面を迎えたところであります。

 この間の皆様方のご協力、そして京都府の取組に感謝を申し上げますとともに、悲願であります早期の全線開通に向け、引き続き京都府と協議を重ね、協調を強めながら、住民の安心・安全のための必要不可欠な道路として、その整備に全力を傾注してまいりたいと考えております。

 二本目の柱は、役場新庁舎の建設事業、すなわち“拠点づくり”であります。

 住民サービスを効率よく提供するとともに、災害対策活動の拠点ともなる新庁舎については、平成27年9月に策定した「宇治田原町新庁舎建設基本構想」を基に、災害対策活動の拠点や窓口・住民サービス、開かれた庁舎としての必要な機能、建設位置や土地利用計画、施設配置計画、事業手法等の検討を行い、本年1月に「宇治田原町新庁舎建設基本計画」を策定いたしました。

 建設位置につきましては、「第5次まちづくり総合計画」の土地利用構想において、公共・公益施設等の住民サービス機能と産業・工業機能の集積を図ると位置づけた「シビック交流拠点」周辺の、町道南北線の延伸部と都市計画道路宇治田原山手線の交差点に面する場所としており、平成32年度の供用開始に向け、平成29年度は基本計画に基づく庁舎建設事業を本格化してまいります。合わせて、新庁舎に隣接した防災機能を有した都市公園につきましても、整備に向けた検討を進めます。

 新庁舎建設は、一本目の柱であります都市計画道路宇治田原山手線の整備と合わせ、本町の土地利用構想とまちづくりの根幹をなす事業であり、山手線の整備とそれによる都市機能を牽引する極めて重要な旗印として、事業を速やかに、かつ強力に推進してまいります。

 そして三本目の柱は人口減少対策と移住・定住対策の推進であり、これは“未来づくり”であります。

 総合計画、総合戦略の双方に共通する「まちづくり戦略」において、これら対策に資するため「まちの活力戦略」「うじたわらっ子育み戦略」「安心・住みよいまち戦略」の三つの基本目標を定めております。

 本町においてはこれまでから、たとえば府制度より手厚い子育て支援医療費助成や、昨年の「学校給食甲子園」で全国2位となりました就学前から中学校までの安心・安全な給食の提供など、他市町村にはない“強み”を有しています。これらのこれまでから有している強みに加え、戦略期間の2年目となります平成29年度におきましては、戦略と公約に掲げた施策をさらに具体化させ、新たに町内の新築・中古物件を購入し移住定住した方への奨励金や空家活用、さらに町に転入・定住する従業員を雇用した事業者への転居・住居費用等の支援策の創設など、移住・定住に資する新たな施策をパッケージで組み合わせ実施することにより、多世代にわたり「住んでよし」のまちづくりを強力に進めてまいります。

 これらの三本の柱は、それぞれの取組が連関することにより、足し算ではなく掛け算の相乗効果が発揮されるものと捉えております。そのためには、どの取組も欠けることなく一体的に進めていくことが何よりも重要であります。

 そして、公約に掲げた事業を一つ一つ、着実に進めていくことにより、「第5次まちづくり総合計画」に掲げる将来像であります、「人がつながる未来につながる お茶のふるさと 宇治田原」の実現をめざして、全身全霊で取り組んでまいる所存であります。

 一方で国政に目を向けますと、安倍内閣においては経済の再生を最優先課題として、デフレからの脱却に向けいわゆる「アベノミクス」の推進を図ってこられました。平成27年10月からは第2ステージとして、誰もが生きがいを持って充実した生活を送ることができる一億総活躍社会の実現に向け、出生率の向上や介護離職ゼロなどを掲げた「新・三本の矢」に沿った政策を推し進められているところであります。

 現在、第193回通常国会が開会されていますが、経済再生と財政健全化の両立を確実なものとするため、また「地方創生こそ日本再生の鍵」という姿勢のもと予算や政策の審議が継続されていることから、その動向を注視し、本町への影響を検証するとともに、国及び府における広域的施策への連携・対応をしっかりと図ってまいります。

 このような中、本町の財政状況については、平成27年度決算におきまして、地方創生の推進に向け国において新たに創設された交付金を活用した事業のほか、宇治田原山手線整備事業の増加等により、歳入歳出のいずれも増額となりました。その結果、実質収支は黒字であるものの、基金の取崩し等により実質単年度収支は赤字となったところであり、平成28年度決算においても引き続き厳しい財政状況となることが予想されます。

 このため、平成29年度で計画期間が終了する第5次行政改革大綱及び同実施計画の着実な実施・検証と合わせ、有識者のご意見もお聞きする中、時代が求める新たな行財政改革のあり方を検討し、本町の実態に即した新たな指針となる次期大綱を策定することにより、効率的・効果的な行財政運営を維持できるよう、最大限の努力をしてまいります。

 平成29年度の予算編成にあたっては、新たな任期の初年度、そして総合計画及び総合戦略に基づく地域創生をさらにスケールアップさせるため、昨年度に引き続き、平成28年度3月補正予算と合わせ切れ目のない施策の展開を図るとともに、国政や経済の動きにも機敏に対応した積極型の予算を編成したところでございます。

 それでは、平成28年度補正予算と合わせ、平成29年度の主要な施策について、「第5次まちづくり総合計画」に掲げる四つの「まちづくりの目標」及び二つ「行政の基本姿勢」に沿って申し上げます。

 まず、住民の健康を守るため、保健・医療体制の充実を図るとともに、暮らしの不安要因を減らし、安心して暮らせるまちづくりを推進する「健やかに安心して暮らせるまち」であります。

 私は常々申しておりますが、「好きやねん うじたわら」と言っていただけるまちづくりは、暮らしの安心と安全の上に成り立ちます。

 東日本大震災に代表される巨大地震のみならず、近年は全国的に局地的な大雨による水害や土砂災害によっても甚大な被害がもたらされています。本町においても、私が町長に就任して間もない平成25年9月の台風被害において住民生活及び企業活動に多大な支障が出たことは、今も私の脳裏から離れません。

 こうした災害に対応するためには、地域の防災力の強化が基本となるところであり、引き続き本町の安心・安全の重要な担い手であります消防団の活動に対する資機材の整備を行うほか、災害時における「自助・共助」、そして隣近所で助け合う「近助」の考え方を実践していただいている自主防災組織への支援を行ってまいります。

 また、平成26年8月に広島市を襲った豪雨による土砂災害の惨禍に見られますように、土砂災害から住民の命を守るためには、森林の適正な管理が不可欠でありますことから、地域住民が行う林地内の放置間伐材や倒木撤去等の対策や、森林の所有者等が行う災害予防事業に対して支援を行い、森林環境保全と災害の未然防止を図ってまいります。

 また、災害時において何よりも重要になるものは「情報」であることは言うまでもありません。このため、京都府における土砂災害警戒区域及び田原川浸水想定区域の見直しに伴う本町の防災マップの改定を行い、住民の皆様への周知に努めますとともに、地震・風水害時における災害時情報の伝達につきましても、平成28年度に小中学校・保育所・総合文化センターに整備したIP告知システムの整備箇所を追加し、合わせて同システムを活用した長距離スピーカーに係る調査・検討を進め、新たな情報伝達システムの段階的な整備を行ってまいります。

 災害時等にはライフラインの確保が不可欠でありますことから、昨年の大規模断水が起こった際の課題・教訓を踏まえ、新たに加圧ポンプを装備した給水車を配備し、断水時の給水活動の円滑化を図ります。

 また、日常の暮らしの安心の要となります常備消防・救急に対しましても、高機能消防指令システムの更新により対応時間の短縮とさらなる信頼性の確保を図ってまいります。

 さらに、防犯面での安全性を高めるため、本町の防犯・見守り活動の拠点である旧田原交番跡地の「地域みまもりステーション」において防犯カメラを設置し、地域での自主防犯活動への支援と一体的な犯罪予防につなげるとともに、町公用車へのドライブレコーダーの搭載等と合わせて交通安全対策はもとより、総合的な犯罪の抑止と未然防止に寄与してまいります。

 また、本町においても例外でなく高齢化社会が進行する中、いくつになっても健康で長生きをしたいということはすべての住民の皆様の願いであると存じます。

 このため、昨年度に改定いたしました「健やかうじたわら21プラン」に基づき、住民が主役となって取り組む健康づくりと生涯を通じて健やかな生活を送ることのできる健康寿命の延伸をめざして、疾病の早期発見・早期治療に向けた検診機会の充実のほか、町が行う各種健康事業等への参加者や自発的な健康増進に取り組む方へのインセンティブ付与により、健康づくり気運の醸成を進めます。

 また、健康の要となるのは「食」でありますことから、健全な食生活の実践につながる食育を推進いたしますとともに、地域の食育の担い手として活動いただいております食生活改善推進員を養成してまいります。

 一方で、高齢化の進展に伴い、一人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯、認知症高齢者が増加していくことが予想されます。こうしたことを踏まえ、まず介護予防の観点から、地域全体で高齢者を支え、高齢者自らがその能力を活かして要介護状態になることを予防し、地域の中で自分らしく自立して暮らせる取組を進めてまいります。

 また、本町の高齢者保健福祉サービスの推進や介護保険制度の円滑な運用の指針となる「高齢者介護・福祉計画」の改定を行うことにより、本町の実情に応じた方向性を示し、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな介護サービス、介護予防サービス等の展開に取り組んでまいります。

 さらに、高齢者をはじめとした交通安全思想の普及・浸透と事故防止のため、引き続き子どもから高齢者に対する交通安全啓発に加え、新たに高齢運転者の事故防止を目的に、運転免許証自主返納者への支援策を町独自に創設いたします。

 障がい者の方々が住み慣れた地域社会で自立した生活と自己実現を図ることは大きな願いであります。このため、町における障がい者福祉施策の基本理念を明らかにするとともに、障がい者の地域生活及び一般就労への移行や福祉サービスの見込み量を定める「障がい者基本計画」並びに「障がい福祉計画」を一体的に改定してまいります。

 また、適切な障がい福祉サービスの提供に加え、身近な相談・情報提供の場として町と専門的な相談支援事業所との連携による相談支援を進めてまいります。

 さらに、これまで本町の大きな課題であった、発達に課題を有する児童等に対する専門の福祉サービス提供については、町内の社会福祉法人が新たに児童通所支援事業所を開設する運びとなりました。町の障がい者福祉施策の一翼を担う法人の運営に対して、これまでに引き続き町独自に支援を行い、障がい者・児童及びそのご家庭の福祉を推進してまいりたいと考えています。

 加えて、要介護認定を受けた高齢者や障がい者で構成される世帯等、日常的な外出が困難な方々の負担軽減のため、日々住民の皆様の身近で家庭ごみの収集にあたっております体制を活用し、関係各課の連携のもと、家庭への訪問とごみの収集を行う「ふれあい収集」を開始してまいります。

 次に、きれいな水や豊かな緑に恵まれた自然環境を守り育てるとともに、広域交通と連携のとれた町内交通の利便性の向上や、道路、生活環境などの基盤が整備された便利で快適なまちづくりを推進する、「便利で快適に過ごせるまち」であります。

 昨年度に策定しました「第5次まちづくり総合計画」に掲げる土地利用構想では、新名神高速道路の開通を見通し、都市計画道路宇治田原山手線の整備促進に積極的に取り組むとともに、「新都市創造ゾーン」として、その整備効果を活かした土地利用を一体的に進めることとしています。

 こうしたことから、引き続き宇治田原山手線の国道307号以北の整備にあたりますとともに、新都市のゾーニングをさらに具現化するための基本的な方針である新たな「都市計画マスタープラン」に基づき、京都府とより一層協調を強めつつ、土地利用及び都市機能を牽引するための都市計画制度の導入を進め、合わせて新都市創造ゾーンに連絡する道路の計画的な整備に着手してまいります。

 これらの行政による環境整備と一体的に、住民主体の「都市計画道路宇治田原山手線の早期完成を求める住民会議」の皆様とともに、「オールうじたわら」で宇治田原山手線の整備促進を図ってまいりたいと考えております。

 また、住民の利便性・安全性・快適性の確保のため、引き続き町道の計画的な整備と住民生活に密着した生活道路、橋梁等の整備改良を行ってまいります。

 先人から引き継がれた本町の美しい緑に囲まれた豊かな自然環境は、みんなで守り、次代に引き継いでいかなければなりません。

 このため、環境保全に取り組む上での共通の環境像や理念を示す「環境保全計画」のもと、その推進主体である「エコパートナーシップうじたわら」の活動を支援し、持続可能な社会づくりを進めていきます。

 廃棄物等の発生を極力抑え、資源として循環させる社会の構築のため、ごみの出し方をわかりやすく記載したハンドブックのさらなる周知や各地域でのごみの減量化・再資源化への取組への支援により、住民の皆様の環境意識の高揚と普及促進を図ってまいります。

 一方、本町の公共交通のあり方については、有識者や住民代表による「地域公共交通検討委員会」での検討により示された、本町の実情に即した町内公共交通の方向性に基づき、町内の路線バス・福祉バス等の利用推進を図るとともに、今後も関係者を交えた場で公共交通体系の対策について協議を進め、より便利で使いやすい生活交通ネットワークの構築を図ってまいります。

 また、路線バス利用者の方の利便性向上のため、バス事業者が行うバスの位置情報提供システムの導入に対し、京都府及び沿線市町と協調して支援を行います。

 町内の空家への対策については、住まい環境づくりに加え、総合戦略に基づく町外からの移住定住促進の柱となるものです。これまで町内全域における空家等実態調査、実態調査に基づく所有者意向調査を実施し、昨年12月には今後の空家等の対策に係る基本的な考え方や方向性、スケジュールを示した「空家等の対策・活用に向けた総合的な方針」を策定したところですが、この方針に基づき外部有識者、地域住民からなる協議会を設置し、総合的な空家等の対策計画の策定を行います。

 また、平成28年4月に施行された「京都府移住の促進のための空家及び耕作放棄地等活用条例」に基づき、空家バンクを利用の上、町内の空家と農地を一体的に活用する移住者に対する支援を新たに開始することで、冒頭に申し上げました本町独自の移住定住奨励金等と合わせた空家等の活用と移住定住促進に努めてまいります。

 また、住民の皆様の日々の生活を支えるライフラインとして、将来にわたり安心・安全な飲料水の確保が不可欠であり、これまで取り組んできた新水源について平成29年度から供給を開始いたしますとともに、第5次まちづくり総合計画における土地利用の形成方針等に基づく給水区域拡大の検討に着手いたします。また、水環境の保全と快適な生活環境の創出、健全な水循環の構築のため、引き続き計画的な下水道整備を進めてまいります。

 次に、人口流出に歯止めをかけるため、地域の歴史・文化、茶を核とした地域資源を活用しながら、産業振興や観光交流、雇用の場の創出につなげ、多様な世代で賑わうまちづくりを推進する、「活気にあふれる交流のまち」であります。

 先にも申し上げておりますが、人口減少対策は総合計画及び総合戦略にも位置づけております本町の非常に重要な課題と捉えており、本町への交流・移住を促し、定住そして永住につなげるための施策を総合的に展開してまいります。

 本町の持つ“強み”に関するシティプロモーションの一環として、総合計画将来像のサブコピー「やすらぎ・ぬくもり・ハートのまち」の打ち出しと宇治田原ブランドの発信を積極的に進めるため、引き続き庁内若手職員プロジェクトチーム等のアイデアにより「ハートのまち」のPRを総合的に協議、実施してまいります。この中では、新たに本町と連携協力包括協定を締結している京都府立大学の受託研究事業として本町の「いいところ」を掘り下げ発信するとともに、これまでの大学生との連携や職員プロジェクトチーム、職員提案制度で立案に至った様々なシティプロモーション方策についても、着実に具現化してまいります。

 また、本町の魅力の全国レベルでの発信と町内産業の活性化にも資するふるさと納税については、これまでに町内事業者への御礼特産品等の公募と「お返しギフト」の作成、全国的なふるさと納税ポータルサイト掲載へと進めてきた結果、順調に全国からの寄附額が増加しているところですが、継続したPR強化と寄附者の利便性向上により、さらなる魅力の発信と寄附額の増加を図ります。

 さらにこれら本町の魅力発信により本町を知っていただいた方の移住定住を牽引するため、先ほど申し上げました府制度を活用した空家移住の促進、さらには町内の新築住居や空家を含む中古住宅を購入し移住定住した方への奨励金や、転入・定住する従業員を雇用した事業者への支援策の創設等、本町への移住定住者を増加するための新たな取組を施策パッケージとして強力に推進してまいります。

 また、活気にあふれる交流のまちのためには、まず本町を訪れる方々を増やすことが重要です。本町の地域資源に関係するさまざまな方にご参画いただいた「観光まちづくり会議」の活動を中心に、「観光振興計画」に掲げる取組を着実に進めてまいります。

 おりしも本年は、京都府が宇治茶をテーマに景観維持や産業振興、文化の発信などを進める「お茶の京都」事業のターゲットイヤーであります。山城地域12市町村を舞台として開催される「お茶の京都博」や京都府、市町村、関係団体等で構成する「お茶の京都DMO」への積極的な参画を通じて、日本緑茶発祥の地という歴史や、宇治茶を支える一大産地として伝統ある宇治田原茶を広くPRし、良質茶の生産振興と発展につなげてまいります。

 さらに、観光によるまちづくりと「お茶の京都」事業をより具体的に推し進めるため、国の交付金を活用し、日本遺産認定と京都府景観資産登録を受けた湯屋谷地域、また本町の西の玄関口に位置する西ノ山集団茶園「宗円の郷」の隣接地に観光交流拠点等の整備を行い、町内への誘客と交流につなげてまいります。

 また、平成28年度に開始した観光ポータルサイトの企画・基礎調査をもとに観光に特化した新たな情報発信を開始いたしますとともに、平成29年度より新たに都市地域から町内に移り住んで地域おこしに取り組む「地域おこし協力隊」制度を活用し、“よそもの”の視点で地域住民とともにまちづくりに取り組む人材を募集、委嘱することにより、観光振興計画の要である「観光推進力づくり」の起爆剤といたします。

 本町を代表するレクリエーション施設である末山・くつわ池自然公園については、引き続き具体的な整備計画を策定し、着実な施設整備により利用者へのサービス向上と安心・安全で快適な自然とのふれあい空間の充実を図ってまいります。

 以上のように、ソフト・ハード両面にわたる観光交流事業を推進することにより、本町が持つ“おもてなし力”を活かした「訪れてよし」の観光によるまちづくりを推進してまいります。

 また、町内への定住のためには、居住地の近くに働く場があること、そして町内企業への就業の促進が必要です。このため、町内事業者が町内在住者を正規職員として雇用する場合の支援に加え、町内在住者の町内企業への就業促進を目的として、ハローワーク、京都ジョブパークとも連携し主に大学生及び高校生等を対象として講座や町内企業の事業紹介を行う取組を進めます。

 なお、地域資源を活用した新商品・新サービスの開発等への支援、中小事業者に対する信用保証料・融資利子支援、工業団地への立地・創業企業への支援を引き続き実施し、町内事業者の元気な事業活動を応援してまいります。

 農林業を取り巻く環境には依然厳しいものがありますが、農林業者の経営改善及び共同化等を推進し、農林業の生産性の向上及び近代化を促進するほか、農業の担い手への多様な支援や耕作放棄地の再生利用等への支援を行ってまいります。また、有害鳥獣対策については狩猟免許取得等への支援のほか、野猿等による被害調査、追い払い等の実施により、総合的かつ効果的な対策を図ります。

 日本緑茶発祥の地としての歴史や、宇治茶ブランドを支える一大産地としての宇治田原町を町内外に広く発信していくため、高級茶の生産には欠かせない茶園被覆棚に対する支援や既存集団茶園の再造成などにより、地場産業のさらなる振興を図ってまいります。

 次に、子どもを生み育てる環境と教育環境の充実をはじめ、人間性豊かな成長や暮らしの充実を図るとともに、共生の心を育むまちづくりを推進する、「子育てと学びを応援するまち」であります。

 全国的に少子化が進む中、本町における地域創生、人口減少対策の取組においては、出生率を向上するための施策展開が必須であり、総合計画、総合戦略それぞれに共通し掲げる「うじたわらっ子育み戦略」の展開方針にあります、出産や子育てに関する不安を解消するための切れ目のない支援や負担軽減への取組と、特徴のある教育プログラムの実施により子どもの可能性を伸ばす環境づくりを進めていくことが重要です。

 子どもはまちの未来であるという「子ども・子育て支援事業計画」の基本理念に基づき、子育てしやすいまちをめざした施策を企画立案する庁内の少子化対策プロジェクトチームと関係機関・団体とが連携し、出会いの機会を積極的に提供する婚活支援事業の継続のほか、結婚・子育てを楽しく幸せなものと感じる前向きな意識づくりを行うための交流の場や啓発を行ってまいります。

 次に、子育ての負担軽減に関する支援の充実といたしまして、引き続きおむつ等の育児用品の購入費用への支援を行いますとともに、中学校修了までの子どもを対象とする子育て支援医療費について、町独自に府制度を上回る自己負担額への支援を行います。

 また昨年10月に旧宇治田原町診療所を改修し拡張移設いたしました、子育て家庭への各種育児支援の核となります地域子育て支援センターについては、これまでの子育て支援員の配置による利用者支援に加え、隣接する保健センターの母子保健事業と一体となって、新たに妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目ない「子育て世代包括支援センター」の構築を図ってまいります。

 国においても「働き方改革」が強く叫ばれる中、短時間就労や就労していても幼児教育を希望される場合など、多様な保護者のニーズに適切に対応するため、町立保育所の敷地内に一時保育室等のスペースを確保する保育園舎を増築し、これまでより実施している病児・病後児保育や町立保育所での保育のさらなる充実と合わせ、待機児童ゼロの継続を基本として取り組んでまいります。

 放課後児童健全育成施設につきましては、昨年より保護者送迎の負担を軽減するため早朝開設時間を拡充したところですが、新たに田原児童育成施設を新築移転するなど、子どもが心身健やかに育成される環境整備に努めてまいります。

 これらの取り組みをはじめとした就学前から就学後までの、本町だからこそできるきめ細やかで手厚い保育を推進してまいります。

 「まちづくり戦略」に掲げる特徴のある教育プログラムの推進に向けては、より一層質の高い教育の充実に努めることが必要です。

 義務教育9年間での「育てたい子ども像」の実現のため、これまで協議を進めてきた「学園構想」やその学校運営・組織体制と合わせた小中一貫教育の充実に取り組んでまいります。

 また、本町ならではの教育の一つとして、引き続き町内在住の教職員退職者や有識者、学生等の指導による寺子屋「うじたわら学び塾」での地域ぐるみでの学びの向上のほか、学校教育においてALTを活用した英語教育の推進などに取り組んでまいります。

 学力向上のための指導計画・授業の改善については、各種学力診断テストの実施結果から現状の課題を見い出し、児童・生徒一人ひとりの習熟度に合わせたきめ細かい学習指導を実施いたします。

 各種学校行事等への費用負担や経済的な支援が必要な家庭への支援制度を適切に実施するほか、町議会からご意見をいただいておりました高校生通学費補助金につきましては、従来の初乗り運賃分の控除を廃止し、一定所得以下の世帯については学期定期代を基準として大幅な拡充を行い、生徒の通学手段へのさらなる支援を進めてまいります。

 生涯学習については、多様な学習活動を支援するための連携・ネットワークを再整備し、住民一人ひとりが学習機会を自ら選び生涯を通じて学習できるよう、情報提供と生涯学習講座グリーンライフカレッジの充実を図ります。

 また、奥山田地域が有する貴重な地域資源である化石の適切な管理と活用を図るため、新たに社会教育や学校教育で使用する体験施設や遊具設備を設置し、地域内外の幅広い世代の方々が集い憩える教育振興と交流の場につなげてまいります。

 また、ライフステージに応じた生涯スポーツ環境整備の一環として、住民テニスコート及び屋外バスケットボールコートにおいて、ニーズに応えた施設の全面改修を行ってまいります。

 以上、第5次まちづくり総合計画に掲げるこれら四つの「まちづくりの目標」に加えまして、まちづくりの目標を推進するにあたって共通する二つの「行政の基本姿勢」に基づき、庁内の関係各課が密接な連携を図りつつ、様々な施策を積極的に実施してまいりたいと考えております。

 各施策の推進と進行管理にあたっては、昨年導入いたしました部制の効果を最大に発揮した組織横断的な実施はもちろんのこと、冒頭申し上げましたとおり新たな時代に応じた行財政改革の指針を策定する中で、各施策の進捗状況や成果を明らかにする的確な評価、そして計画と予算の有機的な関連づけのあり方についても検討を進めてまいります。

 なお、総合計画及び総合戦略に共通する「まちづくり戦略」については、引き続き外部有識者や地域住民による計画の評価・点検を行う体制を整え、施策の着実な実施に努めてまいります。

 昨年には、町における総合計画の位置づけを明らかにし、その策定と推進について定めた「町まちづくり総合計画推進条例」を町議会のご可決をいただき制定いたしました。

 本条例及び総合計画の基本構想・基本計画に位置づける「住民と町が協力しながら、ともに歩んでいく」、また「町が地域課題に対して責任を持ち主体的に公的な活動を行うことを前提としつつ、地域での自主的なつながりと活動を尊重し、また協力して対応していくパートナーシップの構築」という考え方は不変のものであります。

 総合計画に基づく各施策を推進する中で、住民も行政も心を一つに、誰からも「好きやねんうじたわら」と言われる「絆で輝く 未来を創る 交流のまち」を、住民の皆様と創りあげてまいりたいと考えております。

 これまで申し述べました諸施策・諸事業を推進するためには、行政だけの力で完遂することはできず、議員各位をはじめ、住民の皆様方、本町に関わるすべての方々のご協力が不可欠であります。

 私は常々「百万一心」という言葉を使わせていただいておりますが、これは「みんなが力を合わせれば何事も成し得る」という意味であります。まちづくりのあらゆる取組において、地域の人たち同士の絆、それを支える役場職員間の絆、そして、地域の人たちと役場職員との絆、この3つの絆をしっかり結び合い、その推進に努めることが何よりも重要と考えております。

 私は2期目任期の開始にあたり、その先頭に立って誠心誠意努力してまいることをこの場でお約束させていただきたく存じます。

 どうか今後の本町のまちづくりの推進になお一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。

 平成29年3月3日

 宇治田原町長 西谷 信夫

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