平成26年度施政方針

更新日:2022年03月10日

平成26年度施政方針

 平成26年3月6日に開会された平成26年第1回(3月)町議会定例会の冒頭において、平成26年度の町政運営に対する町長の基本的な考え方である施政方針を表明いたしました。

施政方針全文

 本日は、平成26年第1回宇治田原町議会定例会を招集させていただきましたところ、議員の皆様におかれましては、公私とも大変お忙しい中、ご参集を賜りまして、ここに開会できますことを心から厚く御礼申し上げます。
 振り返ってみますと、多くの住民の皆様からのご支援によりまして、歴史と伝統に培われた宇治田原町の第16代町長として町政を担わせていただくこととなり早くも1年が経過しました。
 この間の多くの住民の皆様からの心温まるご支援とご厚情に心から感謝申し上げますとともに、日頃から町政発展のためにご尽力いただいております町議会議員の皆様に対しまして心より厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 それでは、平成26年度予算をはじめ、諸議案をご提案申し上げます前に、町政運営に臨みます私の所信の一端を申し述べさせていただき、 議員各位並びに住民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 私は、住民の皆様からご信託を受けるにあたり、まちづくりにおける「基本理念」と3つの基本姿勢、3つのまちづくりの基本的な視点に立った具体的な施策について住民の皆様にお約束をさせていただきました。
 宇治田原町はこれまで、先輩諸氏のたゆまぬ努力で、幾多の困難を乗り越え、茶文化のまちとして発展を遂げてまいりました。今を生きる私たちの最大の責任は、先人の功績に報いるため、20年、30年、50年先もこのまちに住む人が住んでよかったという幸せが実感できるまちづくりを実現することであると考えます。
 その実現のために、地域の人たち同士の絆、それを支える役場の職員間の絆、そして地域の人たちと役場の職員との絆、この3つの絆をしっかり結び合って、このまちに住む人はもちろん、町外の人からも「好きやねん うじたわら」と言っていただけるまちづくりを「基本理念」として町政の運営に臨んでまいる所存でございます。
 この基本理念のもと、『国や山田京都府政と協調し、住民目線で住民の気持ちに立った町政運営を進めること』、『住民・事業者と行政があらゆる地域資源を活用し、個性を引き出し、知恵を出し合い協働してまちづくりを進めること』、『地方分権を推進し、行財政改革を徹底し、自主・自立が可能なまちづくりを進めること』という3つの基本姿勢、「未来に希望と責任」、「くらしに安心安全」、「行政に信頼と真心」という3つのまちづくりの基本的な視点にたちまして、町政のさらなる発展のため、全力を傾注してまいる所存でございます。
 さて、我が国経済は、一昨年に発足した第2次安倍内閣が掲げた経済政策いわゆるアベノミクスの効果により、長年続いたデフレ経済を脱却しつつあり、緩やかではありますが景気回復の兆しが見えはじめていると言われているものの地域で実感できるまでには至っていないところも感じます。
 内閣府の2月の月例経済報告では、物価の判断を「穏やかに上昇している」とし、景気の基調判断は「穏やかに回復している」としながらも、「海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要及びその反動が見込まれる。」とされているところであり、TPP交渉に伴う農政改革、安全保障や近隣諸国との外交問題など、国内外に多くの課題を抱えたままで、先行きは不透明であり、これらの課題の動向やその影響を引き続き注視する必要があります。
 また、継続的な課題として、未だ道半ばの東日本大震災の復興、人口減少、少子高齢社会を背景とした医療、介護、年金といった持続可能な社会保障制度の確立など極めて重要な課題解決も急務となっております。
 安倍内閣には、是非これらの課題に立ち向かい、真の景気回復、安定的な経済成長を軌道に乗せ、誰もが安心して暮らせる活力ある日本を構築すべく、早期に具体的な成果を上げられることを期待するところであります。
 次に、本町の財政状況についてでございますが、平成24年度決算におきましては、実質単年度収支につきましては若干の赤字額を計上いたしましたが、概ねの収支バランスは確保できたものと考えております。
 町税収入は、景気の低迷等によりほぼ同水準にとどまった一方、扶助費がこの10年間で4倍弱となり、5億円を超える額となっております。さらに、歳出全体に占める義務的経費の割合は、51.3%と、依然として高い水準となっております。
 また、財政の弾力性を示す経常収支比率においても87.4%と依然として高い水準となっております。
 税収につきましては、今回提案をさせていただいております平成26年度予算におきましては、固定資産税において償却資産の伸びを見込み増額計上をしておりますが、法人町民税は、25年度決算見込みから若干の減額を見込んでおり、町税全体においては、前年度とほぼ横ばいの予算計上となります。
 26年度においても、財政状況の厳しさは予断を許すものではありませんが、今後の本町のまちづくりの根幹をなす重要施策や、住民生活に直結する重要な事業に積極的かつ効果的に財源を投入し、課題の解決に向け取り組んでまいりたいと考えております。
 本町では、これまで4次にわたる行政改革大綱により、行財政改革の取組を着実に推進し、健全財政の確立に努めてきたところですが、昨年制定しました、第5次行政改革大綱及び同実施計画に基づき、限られた財源の中で、知恵を絞り、行財政改革を推進してまいりたいと考えているところでございます。
 そのような中、町の将来像である「心をつなぎ ともに創る 茶文化のまち」の実現をめざした第4次まちづくり総合計画の着実な推進に向け、限られた財源を有効に活用して、住民生活に直結する真に必要な事業を着実に実施してまいりたいと考えております。
 これら重要施策の具現化を目指すとともに、併せて住民の皆様にお約束をさせていただいた施策の実現のため、「安心・安全対策」、「まちづくり・成長基盤整備対策」、「産業・観光振興対策」、「福祉・健康長寿対策」、「教育対策」の5つの項目を重点的取組と位置付け、26年度予算は前年度比7.2%増の積極的な予算編成を行ったところでございます。
 それでは、平成26年度の重点的取組について、各項目ごとにご説明をさせていただきます。
 まず、安心・安全対策についてであります。
 耐震性能の不足が指摘されておりました役場庁舎について、行政需要の増大や業務の多様化に対応し、また1万住民の生命と財産を守るための危機管理機能を備えた防災拠点となる庁舎とするため、新たな庁舎建設の準備を進めてまいります。
まず、本年度は、将来を展望した施設のあり方やまちづくりも踏まえつつ、建設に係る基本構想及び基本計画を策定してまいります。
 また、近年頻発する集中豪雨による河川の氾濫、決壊等が各地で発生しているところですが、本町におきましても、町が管理する普通河川を対象に、浸水被害を低減するための拡幅工事や老朽化した護岸の改修工事を年次計画作成の上実施し、住民の皆様の安心・安全の確保に取り組んでまいります。
 さらには、土砂災害が発生した場合において、林地内にある伐倒木等が流れ出すことによる、人家等への被害拡大が懸念されていることから、これら危険な伐倒木等に対し、滑落や流出防止対策等を施す事業を緊急に実施してまいります。
 「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚と連帯感に基づき、災害時における「自助・共助」の考え方を実践していただいている自主防災組織については、本年度、資機材整備に係る経費についての助成を大幅に拡充してまいります。
 また、少年期から火災・災害を予防する方法を地域で学ぶことは、将来の地域防災を支える人づくりに重要であることから、自主防災組織でのキッズ防火隊の発足を支援してまいります。
 その他、宇治田原町交番の新築により、町に返還された旧田原交番跡地において、町内産材を活用した青色回転灯付(仮称)安心安全防犯ステーションを整備し、住民の皆様が引き続き安心・安全に暮らすことができるよう、総合的かつ有機的な防犯活動を推進してまいります。
 次に、まちづくり・成長基盤整備対策についてであります。
 平成23年に「地方自治法の一部を改正する法律」が公布され、まちづくりにおける基本構想の法的な策定義務がなくなり、策定等については町の独自の判断に委ねられることとなりましたが、今後とも計画的な行政運営を行うためには、各行政分野の上位計画となる「総合計画」の策定は必要との認識のもと、平成27年度で計画期間が終了する第4次まちづくり総合計画に代わり、平成26年度と27年度をかけて、第5次まちづくり総合計画を策定することといたします。
 また、平成19年度に宇治田原小学校と統合し、閉校となった旧奥山田小学校につきましては、調理室や老人憩いルーム、多目的会議室等を備えた宇治田原町奥山田ふれあい交流館として、子どもから高齢者までが集える地域のコミュニティ空間として、また住民の皆様が主体的に行うまちづくり活動の拠点として活用できるよう管理運営を行ってまいります。
 宇治田原山手線建設は、国道307号の渋滞緩和や災害時等におけるバイパス機能、まちづくりにも関わる本町の最重要課題の一つです。
 先般早期完成に向けて、住民の皆様が主体となった「都市計画道路宇治田原山手線の早期完成を求める住民会議」を設立いただき、今後京都府等への要望活動においても大変心強く、感謝申し上げる次第であります。
 当該路線における国道307号以北の1.2キロメートルにつきましては、ネクスコ西日本が進める新名神高速道路建設用道路工事と歩調を合わすことで、早期の道路供用と財政的負担の軽減を図ることができますことから、本年度より事業着手してまいります。
 また、新名神高速道路が平成35年度完成に向けての取組が進められている中、しっかりと住民の皆様と対話して対応していくとともに各種交通量調査や交通動態の把握を行い、新たな町内交通動態の確保とまちづくりの誘導軸となる道路ネットワークの整備に向けて検討を行ってまいります。
 私たちは、有限である資源を効率的に利用するとともに、再生産を行って、持続可能な形で循環させながら次代に繋いでいかなければなりません。
こうした資源循環型社会の実現を目指して、ごみの減量化、水資源の有効利用及び再資源化等を目的として、これまでの生ごみ処理容器に加え本年度より新たに雨水貯留設備の購入に対しても助成を行ってまいります。
 また、ごみの減量化や再資源化等を推進するため、平成27年1月から城南衛生管理組合管内においても、新たにプラマーク容器包装物の分別収集をお願いすることになっておりますことから、実施にあたりましては住民の皆様へ十分な分別の周知と啓発を図ってまいります。
 次に、産業・観光振興対策についてであります。
 町域の約8割を森林が占める本町において、町内産材の活用は重要課題の一つです。
本年度、利用者の利便性・快適性の向上のため、バス事業者が行う町内産材を活用したバス停整備に対して支援を行い、路線バスの利用促進はもとより町内産材の活用促進を図ってまいります。
 また、湯屋谷の大福地区に広がる約10ヘクタールの「大福集団茶園」は、茶園造成後約48年が経過しており、茶樹の老齢化による減収に加えて、急傾斜地形で、農作業効率も悪く労働生産性の低い茶園であるため、京都府や本町などで取り組む「宇治茶の基盤整備プロジェクト事業」によりモデル地域の指定を受けた中で今後再造成を実施し、茶どころ宇治田原として、更なる宇治茶の生産振興を図ってまいります。
 一方、年間約1万人が訪れ、本町の豊かな自然と親しむことができるレクリエーション活動の場、自然とのふれあいの場として主要な施設である「末山・くつわ池自然公園」については、利用客へのサービス向上や利用促進を図るため、トイレの改修や公園内の道路整備を進めてまいります。
 さらに、こうした町内にある自然公園の充実や文化、歴史などの観光資源、あるいはこれまであまり注目されていなかった地域資源の掘り起こしを行い、新たな複合的観光資源としての枠組みを構築することで、地域産業の活性化や住民の皆様が地域への誇りと愛着を感じていただくことができるよう、新たに「観光振興計画」を策定いたします。
 その他、町内事業者が町内在住者を正規職員として雇用する場合の支援についても期間を延長し、引き続き実施することで雇用創出を促進するとともに、町内の商店、中小企業の競争力や販売力強化に資するための経営改善や販路拡大等への助成制度についても、引き続き実施してまいります。
 次に、福祉・健康長寿対策についてであります。
 障がいを持つ方とそのご家族にとって、住み慣れた地域社会で自立した生活と自己実現を図ることは大きな願いであります。
 障がいを持つ方が、地域での生活を安心して送ることができるよう、町内の社会福祉法人が新たに開設する、障がい福祉サービスを複合的・総合的に提供する施設の整備費用について支援を行い、障がい者福祉の充実を図ってまいります。
 また、高齢者のふれあいと憩いの場であるやすらぎ荘の浴室設備について、町内産材を活用した改修を行い、木のぬくもりのある快適な浴室空間を創造し、高齢者の居場所づくりと健康づくりを進めてまいります。
 近年、非正規労働者や低所得者層の増大など、子育て世代を取り巻く環境は非常に厳しくなりつつある一方で、教育費など子育てに係る経済的負担は非常に重いものとなっています。
 子どもを安心して生み育てやすい環境づくりを推進するため、これまでから実施している保育料の第3子無料化の対象児童を小学生まで拡大し、多子家庭における経済的負担の軽減を図ってまいります。
 また、町立保育所に通う子どもたちの安全を確保し、安心して保育所にお預けいただけるよう、保育所の入口門扉に電気錠を設置するなど、外部からの不審者侵入の防止強化を図ってまいります。
 近年、生活水準の向上や医学の進歩により長寿化が進んでいますが、健康でいきいきとした生活を送ることができてこそ、はじめて長寿を喜ぶことができるものであります。
 日本人の死亡原因の第1位である「悪性新生物(がん)」の早期発見・早期治療を図るため、これまで各種がん検診について助成を行ってまいりましたが、本年度より前立腺がんについても新たに助成対象とし制度の拡充を図ってまいります。
 また、介護保険事業につきましては、本年度より、小規模多機能型居宅介護と訪問看護の複数サービスを組み合わせた複合型サービスに対する保険給付に対応するなど、要介護者の持つ能力に応じて、住み慣れた地域で自立した日常生活を営むために、個々のニーズに合ったサービス内容の充実を図ってまいります。
 次に、教育対策についてであります。
 本町においては、小学校の児童のほとんどが維孝館中学校へ進学する状況から、実質的に小中一貫教育を可能とする土壌があります。
 平成25年2月の小中連携・一貫教育のあり方検討会議のまとめを踏まえ、目指す子ども像の実現を目指すため、小・中学校の義務教育9年間を見通し、子どもたちの育ちと学びを連続的にとらえ、継続的で一貫性のある教育を推進してまいります。
 加えて、生徒指導上の問題や不登校問題、いじめ防止対策推進法等に係る対策、小中一貫教育を総合的かつ効果的に推進するため、割愛教職員を教育委員会に配置し、小中学校を支援する体制の強化を図ってまいります。特に小中一貫教育では、保護者や地域住民の皆様の学校運営への参画や情報発信等を推進してまいります。
 今日のグローバル社会において、子どもたちが英語能力を身に付けることは大変重要となっていることから、中学生が英語検定の合格を一つの目標とすることで、学習意欲を高めることができるよう、本年度より英語検定費用を全額補助してまいります。
また、町内小・中学生を対象に、郷土愛を育み、宇治田原町に対する再認識、再発見をしてもらえるよう、「私たちの宇治田原」をテーマにした俳句を募集する新たな文化事業を実施してまいります。
 幼児期における読み聞かせは、豊かな心を育み、一生の宝物となる大変重要なものであることから、子どもたちを対象に読み聞かせを行っていただくボランティアの育成及びレベルアップを目的とした養成事業を実施してまいります。
 また、小・中学生時における読書についても、読解力を伸ばし、思考力の土台となる重要なものであることから、学校図書の蔵書の充実を図るとともに、児童・生徒一人ひとりが読書に親しみやすい環境整備のため、引き続き小・中学校図書室に図書館司書を配置してまいります。
 以上、平成26年度の町政運営に臨みます私の所信の一端と主要施策の概要につきまして、特に重点施策と新規施策を中心に申し述べさせていただきました。
 施策の推進にあたりましては、冒頭にも申し上げましたとおり、国及び山田京都府政と協調し、3つの絆がしっかり結び合って、このまちに住む人はもちろん、町外の人からも「好きやねん うじたわら」と言っていただけるまちづくりに全力を尽くす決意でございます。
 何卒、議員各位並びに住民の皆様の一層のご理解とご支援をふるさと宇治田原町のまちづくりに賜りますようお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。

 平成26年3月6日

 宇治田原町長 西谷 信夫

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