令和5年度施政方針

更新日:2023年03月03日

令和5年度施政方針(全文)

令和5年3月3日に開会された令和5年第1回(3月)町議会定例会の冒頭において、令和5年度の町政運営に対する町長の基本的な考え方である施政方針を表明しました。

施政方針全文

令和5年第1回定例会の開会にあたり、令和5年度において宇治田原町政に臨みます所信の一端を述べさせていただきます。

新型コロナウイルス感染症とのたたかいは、令和2年1月に国内最初の感染者が確認されて以来、3年の時を経てもなお周期的な感染の波が押し寄せる状況にあります。一方で、新たな治療用経口薬の承認や感染症法上の類型引き下げの予定が示されるなど、方策転換の動きもみられることから、コロナを「特別な脅威」とみなすのではなく、対策や予防を続けながら、「共存」を前提に次なる波に備える出口戦略へと緩やかに移行する局面にあると言えます。

この間、感染症対応の最前線でご奮闘いただいております医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆さまの献身に、改めて敬意と感謝を申し上げますとともに、日々の感染防止対策を継続いただいております住民の皆さま、事業者の方々のご理解とご協力に心から感謝を申し上げます。

また、議員各位におかれましては、コロナ対策の諸施策に関し、種々のご提言をいただきながら、迅速な事業執行へのご対応をいただいてまいりましたことに、重ねてお礼を申し上げたいと存じます。

コロナ禍を契機にオンラインによるコミュニケーションが日常化し、働き方や学び方、生活様式の随所に劇的な変化を引き起こしました。テレワークや小・中学校におけるタブレット端末の活用、キャッシュレス決済の普及といったオンライン化、デジタル化の流れは、コロナリスクへの対応として、否応なく進んだDX(デジタル・トランスフォーメーション)ですが、非接触、非対面を求める社会への移行は、コロナ収束後も続く変化と捉える必要があります。

こうしたデジタル化社会への対応の一つとして、3月13日からは、住民票等のコンビニ交付サービスをスタートいたします。本町のDX基本計画は、第7次行政改革大綱の中に包含する形で定め、国の指針に沿った行政手続のデジタル化を進めることとしております。住民目線に立ったデジタル技術の活用をテーマに、「いつでも、どこからでも」来庁せずに行える各種のメニューを、デジタルデバイドに配慮しながら段階的に整えつつ、「スマート自治体」への転換を図ってまいります。

一方で、いくらテレワークが普及しようとも、対面によるコミュニケーションがもたらす効果や価値は、今後も変わることはないと私は信じています。交流や接触の制限は、人と人のつながりを希薄化し、やがてはコミュニティの弱体化を引き起こす懸念があります。感染症の動向を見極めながらにはなりますが、まちに笑顔と活気を呼び戻し、人と人との絆をしっかりと結ぶため、賑わいの源となる各種の行事について、一日も早く再開したいと考えております。

 

人口減少への対策は国を挙げて取り組むべき課題ですが、中でも少子化は深刻です。民間シンクタンクによる推計において、令和4年の日本の出生数は77万人台になるという見通しが示されましたが、第二次ベビーブームのピーク時には209万人であったことを思えば、いかに少子化が加速しているか、まさに国家の存続に関わる危機的状況と言えます。

この状況に歯止めをかけるべく、岸田総理は「異次元の少子化対策」と銘打ち、子育て支援の大幅な拡充に取り組むことを表明しました。4月には「こども家庭庁」を創設し、子どもの視点、子育て当事者の視点を基本に「こどもまんなか社会」の実現をめざすとしております。

また、京都府においては、「子育て環境日本一・京都」を掲げ、社会全体が子育ての主体として、負担や苦労、喜びを分かち合う「社会で子どもを育てる京都」の実現に向けた環境整備と取組をパッケージで進めています。

本町といたしましては、こうした国、そして京都府がめざす方向性、理念を共有しながら、宇治田原ならではの特色ある「育みと学び」の支援に重点的に取り組む所存です。子どもが地域の人々に見守られ、健やかに育つ笑顔と活気にあふれるまちは、そこに暮らす人々の幸福度を高めるまちでもあります。子どもたちの探求心や可能性の芽を育み、一人ひとりが未来に夢を抱くきっかけとなることを期待して、学びと体験の機会を幅広く展開してまいります。

さらには、「京都子育て支援医療助成制度」の対象が今秋から小学校卒業まで拡充されることで生み出される財源の一部を活用し、中学校修了までとしている本町独自の子育て支援医療の対象を、高校生世代へと引き上げ、子育て世帯への経済的なサポートにも努めてまいります。

こうした取組の内容や成果を可視化しながら発信していくことで、子育てに選ばれるまちとしての評価と共感を得ながら、新たな人を呼び込む好循環を生み出し、移住の受け皿としてのポテンシャルアップにもつなげてまいりたいと考えます。

昨年末に、京都府山城北土木事務所により、町立小学校の4年生が「宇治田原山手線」をまたぐ完成前の「上ノ山跨道橋」を見学し、道路の建設現場を実体験する機会を設けていただきました。そこでは子どもたちが、『新しい道のお守りに』と思い思いの絵を描く様子に触れましたが、10年前の町長就任以来、宇治田原町の未来のために不可欠な「誘導軸」として、その必要性を訴え続けてきた「みちづくり」がいよいよ目に見える形となり、そこに町の未来を担う「ひとづくり」の象徴とも言うべき子どもたちの姿が重なって、万感胸に迫るものがありました。

昨年12月に改定された京都府総合計画の山城地域振興計画において、新たな国土軸「新名神高速道路」のインターチェンジアクセスとして、既存道路の渋滞解消、災害時の安心・安全を確保するバイパスとしての役割や、企業立地等の沿道開発の可能性を飛躍的に高め、地域産業の振興を担う道として、この「宇治田原山手線」がしっかりと位置付けられ、整備促進の必要性を共有いただいたところです。

南バイパスから役場までの1.4km区間につきましては、今春に開通が予定され、役場から東側の先線2.1km区間についても、京都府において実施設計を鋭意進めていただいております。

こうした背景を踏まえまして、提案させていただきます令和5年度当初予算案は、『きょうと明日を結んでつなぐ 笑顔・活気はぐくみ予算』と題し、編成を行ったところでございます。

「宇治田原山手線」の一日も早い全線開通をめざして、京都府としっかり手を結びながら全力を傾ける決意と、子育て支援を通じた持続可能な明日の礎づくりを進める強い思いを、このキャッチフレーズにお示しし、主要な施策の概要につきましては、「第5次まちづくり総合計画」の4つの「まちづくりの目標」に沿ってご説明申し上げます。

まず、「健やかに安心して暮らせるまち」であります。

新型コロナウイルス感染症のまん延防止と重症化予防のためのワクチン接種につきましては、5類感染症への移行後も継続される方針が示されておりますことから、希望するすべての方に接種機会を確保するため、国の指示に基づき、遅滞なく準備を進めてまいります。

健康づくりの指針となる第2期「健やかうじたわら21プラン」では、健康寿命の延伸を叶える取組の前提として、各種健(検)診の受診率向上を掲げており、世代別に隙間なくメニューを用意して、受診の習慣化と自らの健康づくりの動機付けを促してまいります。

運動面からのアプローチでは、筋力低下が進む壮年層を中心に、専門講師によるノルディックウォーキングの体験や筋力トレーニングの講座の機会を設けて、正しいトレーニングの普及と、楽しみながら続けられる運動習慣の定着を図ってまいります。

高齢者の健康づくりと疾病予防を推進する観点からは、それぞれの地域の通いの場に保健師が赴き、フレイル予防に着目した講座や健康相談に取り組みます。また、健診結果等により栄養課題が明らかになった方や、健康状態の不明な方には、現状の確認を行う中で、関係機関等と連携し、必要な支援や医療につなげてまいります。

本町の要支援・要介護者の認定率は全国、また京都府平均と比較し低位に推移しておりますものの、高齢化率は既に31%を超え、超高齢社会を支える介護保険・高齢者福祉制度の役割はますます大きくなります。「第9期宇治田原町高齢者介護・福祉計画」では、アンケート調査の分析等から、地域課題とニーズを汲み上げながら、令和6年度から向こう3年間における介護保険サービスの見込や保険料設定、高齢者福祉事業の方向性を定めてまいります。そして、高齢者が地域の中でつながりを持ちながら、生き生きと暮らし続けていけるよう、「介護予防普及啓発事業」をはじめとする介護予防事業を通じて、引き続き生活の質の向上に取り組んでまいります。

障がいのある方々が住み慣れた地域の中で、その人らしく、安心して生活できる障がい者基本計画の理念に掲げる「共生のまち」実現をめざし、「自立支援協議会」を通じて地域課題を共有しながら、地域の実情に応じた支援体制の整備に努めてまいりますとともに、令和6年度以降の施策の方針、障がい福祉サービスの提供体制等を定めるために、「障がい者基本計画」、「障がい福祉計画」、「障がい児福祉計画」の策定に一体的に取り組んでまいります。

次に「安心」についてであります。まず、地域防災の要として住民の生命と財産を守るため、平時、非常時を問わず活動いただいております消防団員とそのご家族、関係者の皆さまに心より感謝を申し上げます。昨年、新たに7名の女性消防団員を任命し、出初式から活動をスタートいただいたところですが、きめ細かな視点から時代に即した消防・防災のあり方を共に考え、活動の幅を広げていただくことを大いに期待しております。

「忘れた頃にやってくる」と言われる災害も、毎年のように繰り返す豪雨被害への対応に、今や「忘れる暇なくやってくる」時代になったと感じます。関係法令の改正に加え、近年の頻発化、激甚化する災害への対応、また、感染症への備えとして「新しい生活様式」を踏まえた避難所運営や要配慮者対策など、最新の事象や知見をもとに、有事に際し実効性のある適切な対処ができるよう、地域防災計画と防災マップの見直しを進めてまいります。

常備消防では、車両更新計画に基づき、救急救命士が行う救命処置に必要な装置を備えた高規格の救急自動車を更新し、命を救う現場の確実な運用の保全を図ります。

2つ目の柱、「便利で快適に過ごせるまち」であります。

新名神高速道路のインターチェンジという社会資本が整備されるこの数年の間が、将来のまちづくりを左右する重要な時期であり、「宇治田原山手線」との相乗効果によって沿道の土地利用を促し、生産活動と雇用の好循環を生み出し、持続可能なまちづくりを進めてまいります。「宇治田原山手線」が全線完成すれば、宇治田原インターチェンジ(仮称)だけでなく、大津スマートインターチェンジ(仮称)や京滋バイパスの南郷インターチェンジからもそれぞれ10分以内となり、高速道路からトリプルアクセスが可能となります。時間距離の飛躍的な短縮は、日常生活圏の拡大による利便性向上はもちろん、京都府南部地域の東西軸として滋賀県・京都府・大阪府を結ぶ交通の要衝として、企業活動等に高いポテンシャルを有することとなります。新名神開通のインパクトを確実に地域内へ引き込むためにも、この「宇治田原山手線」の一日も早い全線開通に引き続き全力を傾ける所存です。

また、インフラ整備の効果を最大化するには、道路が有機的に接続される必要がありますことから、朝夕の通勤時間帯における慢性的な渋滞解消の対策として、「宇治田原工業団地線」の詳細設計、用地買収に取り組んでまいります。

さらに、「郷之口高尾線」の法面改良、「2の2号線(通称立場林道)」の線形改良をはじめ、生活道路を中心に住民の利便性と安全性の確保のため、町道の整備・改良を進めてまいりますほか、嘉納橋の橋梁修繕など、道路施設の長寿命化対策にも計画的に取り組んでまいります。

「新しい地域公共交通」は、地域交通の利便性と持続性を向上するため、26回にわたる住民説明会と実証運行を踏まえ、地域住民、有識者からなる協議会での議論を経て、昨年10月より定時定路線の「はーと💛バス」、予約型乗合の「はーと💛タクシー」の有償運行を開始するとともに、「地域公共交通計画」を策定しました。令和5年度からは本計画に基づき、さらなる利用促進の取組を行うとともに、住民の皆さまのご意見を伺いながら、協議会における検証を継続してまいります。

また、新名神高速道路の開通を視野に、新たな広域交通の可能性を検討するため、広域高速等バス路線の調査を行ってまいります。

近年の地球温暖化問題をはじめとする様々な環境問題に対応し、宇治田原町の誇りである美しい緑に囲まれた良好な環境を次世代に引き継いでいくために、住民、事業者、行政の役割や共通の環境像、理念を示す「宇治田原町環境保全計画」について、脱炭素社会に向けた動きなどと連動しながら、令和15年度までを計画期間とする次期計画の策定に取り組んでまいります。

日々の暮らしに不可欠なライフラインである水道水を安全かつ安定的に供給するため、湯屋谷地区の配水管更新に取り組みますとともに、公共水域の水質保全と生活環境の向上のため、工業団地内等における下水道管渠、及び浄化センターにおける水処理設備の整備を進めてまいります。

3つ目の柱、「活気にあふれる交流のまち」であります。

長引くコロナ禍は、改めて東京一極集中への警鐘を打ち鳴らしました。働き方が多様化する中で人々の居住地選択の意識が変わり、地方の可能性が高まりつつあると感じています。この機に、手厚い子育て支援や移住定住施策など、本町の強みを前面に打ち出しながら、ハートフルなまち『京都に、宇治田原町。』のシティプロモーションに、引き続き取り組んでまいります。その受け皿として、改定を行った「空家等対策計画」に基づく「うじたわらいく」お試し住宅や空家バンクのほか、新婚世帯や東京圏からの移住就業者への支援など、移住定住に必要な居住、経済面のバックアップを行います。また、SNSやWEBツールを上手く活用しながら、移住を求めるターゲットへ向けて戦略的なPRを進めてまいります。

観光を足掛かりに地方への人の流れを創出する。京都府による「お茶の京都」をアイコンに掲げた広域的な地方創生の取組に引き続き参画し、「日本緑茶発祥の地」としてのオリジナリティを強みとして広く発信するとともに、「宗円交遊庵やんたん」を中心とする町内観光スポットへの周遊バス「お茶の京都・宇治やんたんライナー」と連携した観光誘客に努めてまいります。また、大河ドラマで注目の集まる「伊賀越えの道」では、ウォーキングイベントや講演会を通じて、観光資源の磨き上げにも取り組みます。

森林に囲まれた本町にとって、放置林は看過できない問題です。手入れがされない山は、植生が荒れて林業の支障となるだけでなく、土砂災害のリスクを高めることにつながります。森林経営管理事業では、森林環境譲与税を活用しながら、現況調査や測量等を進め、一部施業に着手するとともに、林道の安全性、走行性を確保するため、1号鷲峰山線の林道改良も行ってまいります。

丹精込めて育てた農作物を野生動物の被害から守るため、防護柵設置等に対する補助とともに、野猿対策に期待されるモンキードッグを引き続き活用する中で、耕作意欲の維持に努めてまいります。

また、町の総合的な農業振興の計画である「農業振興地域整備計画」について、幹線道路等の整備に伴う状況変化に対応するため、2か年の見直し作業に向けて、まずは基礎調査に着手いたしますとともに、農業用ため池について、防災の視点からハザードマップの作成を進めてまいります。

ふるさと納税の取組は、町の特産品や地域ブランドを全国に発信し、単に寄附をいただくにとどまらず、関係人口の拡大とまちのブランド力向上、ひいては地域経済の活性化につなげることをめざし、力を注いでまいりました。取組当初の平成28年度に244万円だった寄附額が、令和3年度には1億7千万円に到達するなど右肩上がりの成長を続けてまいりましたが、自治体間の競争は激しさを増しており、今後は守り、維持するフェーズにさしかかったと言えます。一方で、このふるさと納税が地方創生に果たす役割もまた大きくなっていると認識しており、ポータルサイトのブラッシュアップやデジタルマーケティングを活用したPR展開、寄附者とつながりを生むための来訪・体験型返礼品の開発など、成長の余白を探しながら、高みをめざしてチャレンジを続けてまいります。

4つ目の柱、「子育てと学びを応援するまち」であります。

本町のふるさと納税の使いみちは、「未来を担う子どもたちのため」に一本化しており、全国から寄せられた寄附金は、子どもたちの夢を応援するために直接投資させていただくことをお約束しております。「未来挑戦隊チャレンジャー育成プロジェクト」は、この仕組みに沿って取り組むもので、ストーリー性を持たせたユニークな事業を各世代へと横展開する中で、子どもたちの心にシビックプライドを醸成しながら、様々な分野への挑戦を後押ししてまいります。そして、プロセスを可視化し、寄附者へのリターンとしてお示しすることで、つながりを生む好循環を築いてまいりたいと考えております。

町立保育所では、専門家の指導のもと、幼児期に体幹を鍛えることに着目した運動遊びを通じて、体づくりを行うとともに、新たな知育玩具の導入や保育者のスキルアップ研修に取り組む中で、豊かな子どもの心を育くむ保育環境を充実させてまいります。

地域子育て支援センターでは、サッカー選手や体育指導のプロを講師に、運動能力とコミュニケーション能力を同時に高められる体遊びの実践方法を学んでいただきます。

小・中学校では、民間教育機関との連携による家庭学習の支援のほか、タブレット端末を活用したAIドリルの提供を継続いたしますとともに、先端プログラミング学習を通じて、今後の社会で必要とされる基礎教養を身に付け、問題解決能力の育成に努めてまいります。

また、中学校では、町内企業のご協力のもと商品開発に挑戦し、自分たちが考えたアイデアが商品化されるプロセスを実体験することで、キャリアデザイン力の養成をめざします。

寺子屋「うじたわら学び塾」や「学びスイッチオン」事業の中では、運動能力や論理的思考力を培う機会を提供するほか、ものづくり体験を通じてクリエイティブ人材の育成にも取り組みます。

「達人が教える外遊び体験教室」では、子どもたちの五感を刺激し、好奇心や探求心を育む機会を提供してまいります。

図書館では、多文化共生の視点から、ボードゲームを活用した外国人住民との交流を通じて、相互理解を深める場を創出してまいります。

いずれの取組にも共通いたしますのは、将来の変化を予測することが困難な時代にあっても、たくましく、しなやかに生き抜く力を身につけることです。新たな価値を見つけ生み出す感性と探求力、他者と協働して考え、表現を深める対話力を養いながら、一人ひとりが個性や能力を発揮できるフィールドを見つけ出すきっかけができれば、自己実現につながっていくのではないでしょうか。短期に成果が表れるものもあれば、10年後、20年後に花開くものもあるかもしれません。可能性への投資は、切れ目なく継続する必要があります。子どもの変化は未来を変える。その思いを住民の皆さまにも共有いただけるよう、このプロジェクトの深化を図ってまいりたいと考えます。

子育て世帯への経済支援といたしましては、出産・子育て応援ギフトの新設により、妊娠・出産時にそれぞれ5万円ずつ、合計10万円の給付を行ってまいりますとともに、冒頭申し上げました子育て支援医療につきまして、高校生世代までその対象を拡充し、保護者負担の軽減に努めてまいります。あわせまして、高校生通学費の補助制度も現行制度を継続し、バス通学費の助成を行ってまいります。

また、国の「出産・子育て応援交付金」を活用し、妊娠期から出産・子育てまでを一貫して切れ目なくサポートする「伴走型相談支援」の一層の充実を図りますとともに、まち全体で子ども・子育て家庭を支援するための方針や施策を定める「第3期子ども・子育て支援事業計画」の策定に向け、各種調査に着手してまいります。

仕事と子育ての両立を支える拠点、町立保育所「あゆみのその」は、人とのかかわりの中で、愛情・信頼感を得て、自主性を培うことを保育理念の一つとしています。コロナ禍にあっても、平時と変わらず愛情豊かに応答的にかかわることで愛着形成を図り、人に対する信頼感と思いやり、そしてそこから生まれる自己肯定感を育みながら、自信を持って意欲的に挑戦する心の保育に、保護者と連携して取り組んでまいります。

小中一貫教育の取組につきましては、維孝館学園小中一貫部会を中心に小小連携、小中連携を進めますとともに、教職員研修の機会を通じて、義務教育9年間を一体的に見据えた学習指導の充実をめざしてまいります。

また、教職員の働き方改革の一環等として、持続可能な部活動のあり方を検討する中で、中学校部活動の地域移行に取り組み、休日部活動への指導員派遣を順次進めてまいります。

生涯学習への取組といたしましては、「いつでも・どこでも・だれもが」生涯を通じて学びの楽しさを見つけられるよう、多様な情報提供に努めますとともに、グリーンライフカレッジでは、感染症対応に配慮した開催方法の工夫を図りながら、青少年から高齢者までニーズに沿ったメニューを取り揃えて、学びの機会を提供してまいります。

集いの場再開に向けた道筋といたしまして、文化の香り高い地域づくりのために、3年ぶりとなる総合文化センターさざんかホールの主催事業コンサートを予定しており、多くの人が集い、活気にあふれる楽しいイベントが開催できることを願ってやみません。

以上、第5次まちづくり総合計画に掲げるこれら4つの「まちづくりの目標」に加えまして、まちづくりの目標を推進するにあたって共通する2つの「行政の基本姿勢」に基づき、関係各課が密接に連携を図りつつ、施策をしっかりと前に進めてまいります。

今回お示しいたしました各分野の施策に関連し、数多くの計画について、見直しの予定をお伝えしたところですが、これら自治体の計画のすべての基本となるまちづくり総合計画につきましても、第6次計画の策定に着手することになります。各々の計画の作業を進めるにあたっては、SDGsの理念を各所に落とし込みながら、持続可能なまちづくりを行っていくことを共通の認識として取り組んでまいります。

コロナの危機を経験した社会は、短期間にかつてないほどの大きな変容をもたらしましたが、困難を乗り越える過程で、変えなければいけないもの、変えてはいけないものについて、数多の気づきを得たことは、コロナの功罪でもあると感じております。

変化の激しい時代にあってニューノーマルに対応したまちづくりを進めるうえで、従来の手法や仕組みにとらわれない、デジタル技術の活用や業務プロセスの見直しによる生産性向上の視点が欠かせません。そのためには、職員の意識改革はもちろん、変化を受け入れる寛容さと柔軟性をあわせ持つ組織風土の醸成が必要であり、第7次行政改革大綱に沿った諸々の改革に、私が先頭に立って取り組みながら、誠心誠意努力してまいる決意でございますので、今後の本町の行政運営になお一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、施政方針とさせていただきます。

令和5年3月3日

宇治田原町長 西谷 信夫

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