令和3年度施政方針

更新日:2022年03月15日

令和3年度施政方針(全文)

 令和3年3月4日に開会された令和3年第1回(3月)町議会定例会の冒頭において、令和3年度の町政運営に対する町長の基本的な考え方である施政方針を表明しました。

施政方針全文

 本日は、令和3年第1回宇治田原町議会定例会を招集させていただきましたところ、議員各位にご参集を賜りまして、ここに開会できますことを心から厚く御礼申し上げます。

 私は、先の町長選挙におきまして、住民の皆さまからのご支援によりまして3期目当選の栄に浴し、歴史と伝統に培われた宇治田原町の第18代町長として引き続き町政を担わせていただくことになりました。

 この間、多くの住民の皆さま、また、多数の議員の皆さまから心温まるご支援とご厚情を賜りましたことに、深く感謝申し上げますとともに、改めてその責任の重さに身の引き締まる思いでございます。

 昨年12月に発生しました職員の不祥事につきまして、選挙戦を通じ、たくさんのお叱りと町政への厳しいご意見を頂戴いたしました。三選のご信託をいただくことができたとは言え、まずはこの事件で傷ついた町政への信頼回復に全力で取り組むことから改めてスタートすることが、私の責務であると考えております。

 開会にあたり諸議案をご提案申し上げます前に、私の3期目任期の始まりとなります令和3年度において、宇治田原町政の推進に臨みます所信の一端を述べ、議員各位をはじめ、住民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 私は先の町長選挙におきまして、4つの最重要の取り組みをマニフェストに掲げ、住民の皆さまにお約束をさせていただきました。

 1つ目には、【信頼回復】職員のモラル向上とコンプライアンス遵守の徹底であります。繰り返しになりますが、昨年の幹部職員の逮捕事案では、町政への信頼を大きく損なうこととなり、職員を管理監督する私自身の責任を痛感しているところでございます。去る2月19日に設置いたしました重大事件等調査委員会において、事件の原因究明と再発防止策をご議論いただきますとともに、職員の綱紀保持、服務規律の遵守を徹底し、町政に対する信頼回復に全力で取り組んでまいる所存であります。

 2つ目には、【道路ネットワーク】「宇治田原山手線」の整備であります。新名神高速道路の全線開通のインパクトを活かし、まちづくりの1丁目1番地の施策と位置付けてまいりました「都市計画道路宇治田原山手線」やその周辺道路の整備を、関係者が一体となった「オールうじたわら」の体制で推進し、生活の利便性向上や広域的な交流の活性化を図ることで、地域の賑わい・活力の創出によるまちの持続的な発展につなげてまいります。

 3つ目には、【コロナ対策】スピード感ある感染防止対策と経済支援であります。具体の取り組みは、この後、個別に申し述べますが、国の交付金等を有効活用し、感染予防の取り組みと経済支援の両面から迅速に対応し、ポストコロナを見据えた事業にも取り組んでまいります。住民の皆さまには、日々の感染防止対策を継続いただき、まずはご自身の命を守ること、そして大切な家族や友人の命を守ること、そして、感染された方々には思いやりの気持ちを持って接することを改めてお願い申し上げます。

 4つ目には、【行財政改革】将来を見据えた持続可能な行財政基盤の構築であります。今後の厳しい財政見通しに対応するため、財政のさらなる健全化を念頭に、自主性と継続性のある行財政運営に取り組んでまいります。

 本町における財政状況は、歳出で「宇治田原山手線」をはじめとする大型ハード整備事業の進捗に伴い、公債費の伸びが見込まれますとともに、特別会計への繰出金や扶助費などの社会保障関係費が引き続き高い水準で推移し、歳入においては、自主財源の柱となる町税が減収となるなど、依然として基金を取り崩さざるを得ない厳しい財政環境にございます。

 昨今、SDGsという言葉を様々なところで耳にするようになりましたが、2015年に国連サミットで採択されたSDGsは、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けた国際目標であり、町政においても常々、持続可能なまちづくりを意識しながら取り組んでまいりました。持続可能な行財政基盤を構築するめには、経常経費の削減、つまり「今やっていることを見直す」ことが前提となりますが、事業の見直しによる削減にも限りがございます。私自らが先頭に立ち、大胆に聖域なき改革を断行するという強い決意のもと、過去の政策決定に基づきこれまで行ってきたサービスを見直す、縮小する、廃止する。その一方で、公約に掲げるまちづくりを進めるために新たな施策は身を切る覚悟を持って遂行する。今までやってきたことを立ち止まって見直すことは、住民の皆さまにとって受け入れがたい選択になる場合もございます。しかしながら、「あれもこれも」ではなく、「あれかこれか」の視点、選択と集中により、未来に責任を持つことが、政治家としての使命と心得、行財政改革に取り組んでまいります。

 折しも本年は宇治田原町にとって町制施行65周年を迎える節目の年となります。信頼回復のため、そしてウイズコロナ、ポストコロナの新時代を皆さまとともに乗り越えていくために改めてスタートを切る。その思いを胸に公約に掲げたテーマを一つひとつ、着実に進めていくことにより、「第5次まちづくり総合計画」に掲げる将来像「人がつながる未来につながる お茶のふるさと 宇治田原」の実現をめざして、粉骨砕身取り組んでまいる所存であります。

 こうした背景を踏まえまして、ご提案させていただきます令和3年度当初予算案は、「未来へReスタート 持続可能なまちづくり予算」と題し、編成を行ったところでございます。令和3年度の主要な施策について、「第5次まちづくり総合計画」の4つの「まちづくりの目標」と2つの行政の基本姿勢に沿ってご説明申し上げます。

 まず、「健やかに安心して暮らせるまち」であります。

 住民の生命・健康と安全・安心を守ることは、基礎自治体に課せられた最大の責務です。住民生活を支えるうえで必要な施策は、時機を逸することなくスピード感を持って実行しなければなりません。

 新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るうなか、昨年4月には緊急事態宣言が発出され、長期にわたる外出自粛や学校休業、在宅勤務などかつてない経験をすることになりました。

 未だ収束が見通せない状況は続いていますが、コロナ禍において生命や健康のみならず、社会、経済、人々の行動や価値観の変容まで多岐にわたり、日常生活や働き方について、新しい生活様式へシフトしていくことが求められていると感じています。

 新型コロナウイルス感染症対策といたしましては、これまでも国の臨時交付金を最大限に活用しながら、感染防止の取り組みと経済活動の下支えを中心に種々の施策を手当てしてまいりましたが、令和3年度も引き続き、この脅威から住民生活を守ることを最優先に取り組んでまいります。

 特にワクチン接種につきましては、国の指示に基づき、地区医師会等関係団体の協力を仰ぎながら、的確な実施に向けて遅滞なく準備を進めてまいります。

 生涯にわたって「健やか」でいきいきと暮らす、健康寿命の延伸は住民福祉の究極の目標とも言えます。健康づくりの指針として一昨年から2か年をかけ、第2期宇治田原町健康増進計画「健やかうじたわら 21 プラン」の改定作業を行ってまいりましたが、計画見直し時に明らかになったライフステージごとの課題解決に向けて、新たに設定いたしました重点目標の実現をめざして、各種の検診や行動変容を促すウォーキング事業などの実践的な健康事業の着実な実施に努めますとともに、この計画に包含する食育の視点との両輪によって、生活習慣の改善に向けたより実効力のあるアプローチを行ってまいります。

 超高齢化社会に突入したわが国にあって、本町の高齢化率もついに30%を超えてまいりました。令和2年度には第8期目となる「高齢者介護・福祉計画」の改定を行いましたが、要支援・要介護者の認定率は全国、また京都府平均と比較しますと低位に推移しており、高齢者が地域の方々とつながりつつ、自分らしく自立した暮らしを続けていけるよう、「地域リハビリテーション活動支援事業」をはじめとする介護予防事業を通じて、引き続き「生活の質」の向上に取り組んでまいります。

 障がい者の方々が自立した日常生活や社会生活を営むためには、地域のサービス基盤の整備が欠かせません。「自立支援協議会」を通じて地域課題の共有を図り、就労支援、地域生活への移行を促進してまいりますとともに、この度改定いたしました「障がい福祉計画」に基づき、関係機関との連携をはじめ、地域や住民と共に各種福祉施策・事業を展開することにより、障がいの有無に関係なく、すべての人にとって暮らしやすい、ともに生きる宇治田原の実現をめざしてまいります。

 そして、障がいのある人もない人も全ての住民が思いや考えを伝え、理解し合える地域社会の実現を目指し、新たに制定いたしました「手話の普及及び障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段の利用促進に関する条例」に掲げる理念の普及啓発に努めます。

 地域福祉においては、本町の地域福祉の礎となる基本理念や基本目標を定める「地域福祉計画」の改定に取り組んでまいりますとともに、地域福祉の実践者であります民生児童委員、社会福祉協議会、またボランティアの方々の活動を支援し、地域の絆の源泉とも言うべき地域ぐるみの支え合いを推し進めてまいります。

 次に「安心」についてであります。はじめに住民の生命・財産を守るため、平時、非常時を問わず地域に密着して活動いただいております消防団員とそのご家族、関係者の皆さまに心より感謝を申し上げます。

 暮らしの不安要素を減らすためには、災害に対する備えが欠かせませんが、就任間もない平成25年9月の台風被害によって町内各所に甚大な被害が出たことは、今も私の脳裏から離れず、この宇治田原の地にあっては大雨による水害や土砂災害への対策が最重要の課題と認識しております。

 こうした災害に対応するためには、何よりも社会資本の強靭化、そして地域の防災力の強化が要になると考えており、昨年7月にこの地へ移転・開庁いたしました役場新庁舎を災害対策活動の司令塔と位置付け、その隣接地に災害時の緊急避難場所としての機能を併せ持つ都市公園の整備を進め、新たな時代の防災拠点を早期に構築してまいります。

 そして、「情報を正しく伝えること」の重要性は過去の災害から得た教訓です。町・消防団・消防署との情報伝達手段として使用する防災行政無線のデジタル化を進めるなど、有事の際の迅速な伝達体制をしっかりと整えてまいります。

 また、土砂災害から住民の命を守るためには、森林の適正な管理が不可欠でありますことから、引き続き林道の改良事業と、法令の要請に基づく森林経営管理に関する各種基準の取りまとめに着手いたしますとともに、農業用ため池について、劣化状況調査とハザードマップの作製に新たに取り組むなど、強さとしなやかさを併せ持つまちづくりを進めてまいります。

 2つ目の柱、「便利で快適に過ごせるまち」であります。

 私は町長に就任以来、一貫して令和5年度に予定されます新名神高速道路全線開通のインパクトを最大限に活かしたまちづくりを最重要の課題に掲げてまいりました。また、現在の国道307号は、朝夕の通勤時間帯において恒常的に渋滞し、平成25年の台風18号では法面崩落により全面通行止めとなりましたが、幹線道路の寸断は、住民生活や企業活動に深刻な影響を引き起こすことを改めて痛感させられました。

 「宇治田原山手線」の整備が、20年先、30年先、さらには50年先の「未来につながる」との信念のもと、住民会議の皆さまと一体で取り組んだ思いに対し、昨年9月の府議会において、西脇知事より「残る未整備区間についても切れ目なく整備を進めることが必要」との大変心強い後押しをいただきました。就任当初、夢に描いた未来予想図の点の線が、いよいよ現実のはっきりとした太い線として結ばれつつあると実感しております。今後も緑苑坂以北の大津市につながる区間について、ネクスコ西日本への工事委託により整備を進めてまいります。

 さらに、令和3年度は「宇治田原山手線」の整備と関連し、「工業団地線」の予備設計を行うことにより、山手線岩山側の早期着手につなげ、渋滞解消などの早期実現をめざしてまいりますほか、「奥山田天神社線」の法面改良、「2の2号線」の線形改良等、引き続き住民の利便性と安全性の確保のため、町道の計画的な整備改良を行ってまいります。

 東西に町域が広く鉄軌道のないわが町にあって、住民アンケートの結果、最上位に「公共交通の充実」が求められており、人の往来が絶えない便利で快適なまちづくりを進めるうえで、新しい地域公共交通体系の構築が不可欠と考えております。国の交付金を活用しながら、受益と負担の在り方の整理を図りつつ、デマンド型乗合タクシーや町営バスの再編など、様々な視点から生活交通ネットワークの最適解を模索してまいります。

 また、日々の暮らしに欠かせないライフラインである水道水を将来にわたり安全かつ安定的に供給するため、老朽施設の更新を中心としたインフラの整備を行いますとともに、公共水域の水質保全と快適な生活環境の創出に資するため、引き続き未普及地域への公共下水道事業を進めてまいります。

 3つ目の柱、「活気にあふれる交流のまち」であります。

 急速に進む人口減少に立ち向かい、まちに賑わいと活気を呼び込むためには、観光や就業などを切り口に町内外の交流を円滑化し、それを引き金に様々な支援メニューで移住につなげていく。そのきっかけとして、まずは宇治田原町を知っていただくという入口の部分が大変重要になると考えます。コロナ禍で交流が制限される現下にあっては、若い世代に親和性の高いオンラインコンテンツをはじめとするメディアミックスの手法を取り入れながら、シティプロモートを展開し、地域を訪れずとも継続的に関わっていただける関係人口の創出・拡大に取り組んでまいります。

 そして、移住定住については、これまでも他市町にはない様々な取り組みを強力に進めてきたところです。新たに若い世代の経済的不安を軽減し、ぬくもりのある「ハートのまち」を実現するため、新婚世帯の新生活に係る住宅取得費用への支援を開始するなど、従来の移住定住奨励金をさらに充実させて取り組みますとともに、移住希望者の受け皿づくりの観点からも、引き続き「空家等対策計画」に基づいて「宇治田原空家バンク」や「うじたわらいく」お試し住宅をはじめとする、空家等の適正な管理と利活用に資する取り組みも一体的に推し進めてまいります。

 観光を足掛かりに地方への人の流れを創出する。京都府による「お茶の京都DMO」をアイコンに掲げた広域的な地方創生の取り組みに引き続き参画し、「日本緑茶発祥の地」としてのオリジナリティを広く発信するとともに、地域外からの戦略的交流拠点に位置付ける「末山・くつわ池自然公園」の整備を進めてまいります。

 コロナ禍で消費が落ち込む地域経済への対策といたしましては、「プレミアム商品券」を発行し、消費拡大と商工業の活性化を図るとともに、町内で事業を営む中小企業者や小規模企業者が行うコロナ対策に係る投資についても幅広く支援を図ってまいります。

 中山間に位置するわが町にあって、第一次産業を持続可能な生業として守り育てる視点は無くてはならないものと考えております。宇治茶ブランドを支える一大産地としての宇治田原町の誇りを守るため、商品価値の高い優良品種への改植等、将来に対する投資を支え、地場産業のさらなる振興を図ってまいりますとともに、農林業者の経営改善と共同化の推進、農林業の生産性の向上に資する取り組みへの支援を継続してまいります。

 また、丹精を込め育んだ農作物を野生動物の被害から守るため、防護柵設置等に対する補助に加え、野猿の追い払いに試行的に取り組んでまいりましたモンキードッグについて、運用に向けた実地訓練をさらに進めてまいります。

 町の特産品や地域ブランドを全国に発信し、単に寄附をいただくにとどまらず、宇治田原町のファンになってもらって、交流人口を拡げていくことを目的に進めてまいりましたふるさと納税につきましては、年々順調に寄附額を増やし、令和2年度にはついに1億円を超えるところまで到達いたしました。ふるさと納税の取り組みは、返礼品を提供いただく方々にとりましても、販路拡大の機会として、また、BtoC展開のビジネスモデルとして、大いなる可能性を持つものと考えておりますので、今後も返礼品メニューのさらなる充実とブラッシュアップを重ねながら、地域創生の鍵となる地域ブランド力向上に努めてまいります。

 4つ目の柱、「子育てと学びを応援するまち」であります。

 子どもが健やかに育つまちを形成することが、ひいてはそこに暮らすすべての人にとって幸福度の高いまちになる、私はそのことを信じて疑いません。子どもたちへの支援は、苦しい時期にあっても未来を紡ぐために欠かすことのできない投資と考える所以です。

 ふるさと納税を窓口に、全国から寄せられた寄附金は、「未来を担う子どもたち」の夢を応援する新たな取り組みに優先的に活用させていただくため、「未来挑戦隊チャレンジャー育成プロジェクト」と銘打ち、ストーリー性を持たせた横軸の展開を図ってまいります。

 地域子育て支援センターでは、子どもたちの読解力や感受性を育むため、フィンランド教育の第一人者を講師に本の読み聞かせの実践に触れるなど、子どもたちとの特別な時間を共有する子育て講座を開催します。

 町立保育所においては、「保育所体づくりデ茶レンジャー育成事業」の一環として、サーキット遊具導入による効果をさらにパワーアップするため、専門家の指導を受けながら、子どもたちの自発的にチャレンジする心の育成と保育士のスキルアップを同時に図ってまいります。

 生涯学習分野では、寺子屋「うじたわら学び塾」において、より速く走る・より遠くへ投げる能力の向上を目指す講座を新たに開設いたしますほか、「学びスイッチオン」と題して、専門家だけでなく町内在住の人気クリエイター等を講師にお招きし、プログラミングやものづくりを学ぶなかで、論理的思考力や創造力を養う機会を設けてまいります。

 こうした取り組みを通じて、子どもたちが大人になったとき、このまちのおかげで成長した自分があると思っていただくことができましたら、シビックプライドの醸成にも寄与するものと期待するところでございます。

 次に、児童・生徒への新型コロナウイルス感染症への対策といたしましては、前年度に引き続き子育て家庭への生活応援として、令和3年度中に生まれた子どもを対象に、1人当たり10万円を支給してまいりますほか、小学生から高校生世代の子育て世帯には、スクールライフの充実のための臨時的な経済支援として、1人当たり1万円の商品券を支給してまいります。

 また、町立小中学校においては、GIGAスクール構想関連事業と連携し、学習用タブレット端末をはじめとするICTを活用した学び環境を整えてまいりましたが、コロナ禍における遠隔学習への対応等、ポストコロナを見据えた教育のICT化をさらに推進するため、電子黒板等の関連機器を整備してまいります。

 第2期の総合戦略における「うじたわらっ子育み戦略」では、「妊娠・出産から子育ての切れ目ない支援環境づくりと子育ての負担軽減の取り組み」、そして「宇治田原町独自の特徴ある教育の充実を図り、子どもたちが楽しく学ぶことのできる環境づくり」を掲げております。

 昨年7月には、役場庁舎に併設する形で地域子育て支援センターと保健センターを複合施設として一体化しましたが、この施設、「はぐ(Hug)くむ(Kumu)センター」を拠点に、産前における子育て家庭の包括的なサポートから、産後の母子保健事業まで切れ目のない支援を進めてまいります。

 また、乳幼児のおむつやミルクなどの購入費の一部を助成することで、少しでも子育て期の家計負担軽減を図りたいとの思いから制度化いたしました育児用品購入助成も引き続き実施いたします。

 義務教育修了までの子育て支援医療費につきましては、京都府制度を上回る自己負担額への支援を継続いたします。

 保護者の仕事と子育ての両立を支える場として、町立保育所は常に子育て家庭に身近に寄り添ってまいりました。豊かな人間性を育む保育をモットーに、働き方改革に伴う勤務形態の多様化にも応えていく、地域に根差した保育所「あゆみのその」の充実を図ります。

 義務教育への取り組みといたしましては、総合計画の中間見直しにおいて明らかとなった課題を踏まえ、第2期総合戦略に掲げる宇治田原町独自の特徴ある教育の充実、子どもたちが楽しく学ぶことのできる環境づくりに向けて、学校と行政、そして地域とご家庭がそれぞれ当事者意識を持って取り組むことが何よりも重要であります。各々が知恵を出し合い、ここにしかない、特色のある教育環境を構築することこそが、移住定住を呼び込むインパクトとして、また、暮らしの幸福度を引き上げる要素として、求められている視点と認識しております。

 義務教育の9年間を系統的、継続的に学ぶ小中一貫教育につきましては、「維孝館学園」クリエイト会議において引き続き協議を深めてまいりますが、施設の在り方につきましては、コロナ禍による先行き不透明な状況を鑑みまして、新しい生活様式への対応を念頭に、施設規模、経済動向、関連施設の整備計画、令和6年度としておりました開校時期も含めまして、多角的に再検討を行うこととして、調査費用を計上いたしました。

 生涯学習への取り組みといたしましては、住民一人ひとりがそれぞれのライフステージに必要となる学習活動を自ら選んでいただき、生涯を通じて学びの楽しさを見つけられるよう、多様な情報提供に努めますとともに、グリーンライフカレッジ事業では、青少年から高齢者、また、人権教育まで幅広くメニューを展開し、学びの機会を引き続き提供してまいります。

 以上、第5次まちづくり総合計画に掲げるこれら4つの「まちづくりの目標」に加えまして、まちづくりの目標を推進するにあたって共通する2つの「行政の基本姿勢」に基づき、庁内の関係各課が密接な連携を図りつつ、種々の施策をしっかりと前に進めてまいります。

 また、庁舎移転を契機として、組織のフラット化と行政窓口の集約によるワンストップ化を進めてまいりましたが、今後も住民の皆さまにとってわかりやすく、利用しやすい役場となるよう、しっかりとニーズに耳を傾けながら、適宜、柔軟な見直しを図ってまいります。

 まちづくりの基本的な理念と町の基本姿勢を定めた「町まちづくり総合計画推進条例」、そして総合計画基本構想にそれぞれ掲げる「住民と町が協力しながらともに歩んでいくまちづくり」に関して、住民がまちづくりの主役であることを再認識し、住民の町政への参画とパートナーシップによる、より創造的な地域社会を形成することを謳っておりますが、これは私の座右の銘とする「百万一心」という言葉と考えを同じにするものであります。みんなが力を合わせれば何事も成し得る。まちづくりの取り組みにおいて、地域の人たち同士の絆、それを支える役場職員間の絆、そして地域の人たちと役場職員との絆、この3つの絆をしっかり結び合い、その推進に努めてまいります。

 これまで申し述べました諸施策・諸事業を推進するためには、議員各位をはじめ、住民の皆さま方、本町に関わるすべての方々のご協力が不可欠であります。私はその先頭に立って誠心誠意努力してまいることをこの場でお約束させていただきますので、今後の本町のまちづくりの推進になお一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、施政方針とさせていただきます。

 令和3年3月4日

 宇治田原町長 西谷 信夫

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